「子どもの発達障害」という言葉を、最近はよく聞くようになってきました。自分の子どもの発育状況に少し不安があるとき、発達障害の程度などを調べることができるのが心理検査です。しかしこの心理検査は、子どもにとっても負担の大きいことです。心理検査を受検する際に気をつけたい留意点を紹介していきます。

◆子どもの心理検査とは?

子どもの発育状況に不安があるときに、子どもの発達状況について調べる検査のことを心理検査といいます。

心理検査には、大きく分けて2種類あります。

・発達検査…身体機能や社会性について検査するもの。主に、乳幼児など幼い頃に利用されます。

・知能検査…物事に関する理解や、課題への解決能力など、認知能力について検査するもの。こちらは発達検査に比べ、成長した子どもの検査で使われます。

まずは、子どもの心理検査の種類について親がよく理解し、どの検査を選択するのかが大切です。

◆子どもの心理検査の種類 適切な検査の選択を

子どもにとって心理検査を受けることは、その検査そのものが不安であり、心理的負担も大きいものです。しかし、それでも心理検査を受けるということは、今何かしらに困っていることがあって、その原因を知って解決したいからです。

例えば、授業中にじっと座っていることができず、困っている子どもがいたときに、どうしてそうなってしまうのかの原因を探り、今後その子に対してどのように関わっていけばよいかを考えるために、心理検査を受けます。

そのためには、心理検査を受ける前に、心理検査の種類をよく知り、解決したい目的に合った心理検査を選択することが、子どもの心理検査を受ける際にまず何より大切なことです。

◆発達検査 「KIDS(キッズ)乳幼児発達スケール」・「新版K式発達検査」

まずは、身体機能や社会性について検査を行う2種類の発達検査について紹介します。

・「KIDS(キッズ)乳幼児発達スケール」

・「新版K式発達検査」

発達検査の一つである、「KIDS(キッズ)乳幼児発達スケール」は、自治体などにある児童発達支援センターや、家庭自動相談室、子育て支援課などで実施されている比較的簡単な心理検査です。

検査対象が、0歳1か月~6歳11か月までの幼児のため、10~15分程度と比較的短い検査時間での検査となっています。普段から対象児の行動をよく観察している保護者などが、約130項目の質問に、〇か×かの2択で答えていく検査です。

「新版K式発達検査」は、1989年に開発された「KIDS(キッズ)乳幼児発達スケール」に比べて、2001年から新しい検査方法での検査が始まった比較的新しい検査方法です。

検査対象は、0歳~成人までで、検査時間は30分~1時間程度です。1対1の個室で子どもの興味のあるおもちゃなどを使いながら、子どもの自然な行動を観察して検査していく方法のため、比較的検査を受ける子どもも、普段通りに過ごしながら、心理検査を受けることができます。

◆知能検査 「ウェクスラー式知能検査 WISC」・「田中ビネー式知能検査」

物事に関する理解や、課題への解決能力など、認知能力について検査する知能検査の2

種類についても説明していきます。

・「ウェクスラー式知能検査 WISC」

・「田中ビネー式知能検査」

「田中ビネー式知能検査」は、1対1で行い、言葉をほとんど使わないことが特徴の心理検査です。検査の対象年齢は、2歳~成人で、検査時間は、30分~1時間程度です。1947年から幾度もの改正を経て長年利用されている検査方法で、現在の検査は2003年から利用されているものです。

全ての問題をジェスチャーにて教示し、パフォーマンス=動作で回答させる方法の心理検査です。子どもが興味を持って取り組むことができ、言葉を使わないため、言葉の発達が未熟な子どもや、聴覚障害のある子どもにも有効な心理検査です。

「ウェクスラー式知能検査」は、児童用のWISCと成人用のWAISがあります。70年以上の歴史を持つ心理検査で、児童用のWISCの検査対象は5歳~16歳11か月まで、検査時間は60~90分です。

検査内容は、「絵の完成」や「知識」「算数」「単語」など複数の検査指標から心理検査を行うため、偏った能力を相対的に捉えたい場合などに有用な心理検査です。

いずれの心理検査にしても、メリットとデメリットがあります。子どもの発育状況に不安を感じたときは、すぐに心理検査を受けるのではなく、まずは、保健センターや子育て支援センター、児童相談所、発達障害支援センターなどで、よく相談し、心理検査についても理解を深めたうえで、どの検査を受けるのかについて考えていくことが大切です。

◆検査は事前に計画を立て、適切な時期に受けること

心理検査は、何度でも頻繁に受けれるものではありません。頻繁に検査を行うことで、子どもが検査内容を覚えてしまい検査にならなかったり、伸びしろが分からなかったりと、正確な指数ではかることができなくなります。

しかし親が心配のあまり、早めに子どもの心理検査を受けたことで、本当に心理検査をしたいタイミングで検査できなかった事例もいくつかあります。

例えば、子どもが小学校に進級する際に、普通学級に進級するか、支援学級に進級するか悩んだとき、その指標の一つになるのが心理検査ですが、進学を決定する少し前にも心理検査をすでに受けていると、適切なタイミングでの心理検査を受けることができません。

小学校へ進級するタイミングで子どもの心理検査を受けたいならば、年中の頃に子どもの様子が少し気になっても、進学について本格的に考えだす、年長の夏頃になるまで心理検査の受検を待つなど、先を見据えて計画的に心理検査のスケジュールを考えることも大切です。

◆子どものこれからを一緒に考える

発達障害は、一度の検査で全てが決まるものではありません。まずは、このことを親と子どもがきちんと理解することが大切です。

子どもの体調や、気分・情緒によっても心理検査の判定結果は左右されます。また、1度心理検査を受けてから、経過観察を行うことも大切です。

目安ではありますが、心理検査を受けたあと、年齢に応じて以下の期間以上は、子どもの様子の経過観察が必要です。

・1歳~3歳未満 3か月以上

・3歳以上 6ヶ月以上

・7歳以上 1~2年以上

経過観察を行いながら、これから子どもとともに、どう向き合っていくかを考え、また、検査結果に悲観的になるのではなく、子どものよいところを見つけることも大切です。

心理検査の検査結果が全てではありません。結果が出てからも、心理検査を受けようと考えたもともとの目的を見失わずに、子どもとのこれからを一緒に考えていくことが大切です。