「あのね、先生聞いて。今日は私の誕生日なの。」学校で教師として勤めていると、教師のいる教卓のそばまで行って、誕生日のアピールをする子どもがいます。こういった誕生日のアピールをする子どもは、自己肯定感が低い傾向にあります。なぜ、こういった子どもは自己肯定感が低くなってしまうのでしょうか。

◆子どもたちが求めているのは、『無条件な肯定』

子どもたちは、日々の生活の中で、大人と同じように頑張っています。大人でも、頑張ったことを認めてほしいなあと思うことがよくありますよね。
子どもも同じで、自分の頑張ったことを親に認めてほしくて、学校のテストやお手伝いなど、いろんなことを頑張ろうとします。

しかし、そのために親はつい、子どもが頑張ったときにしか、子どものことを認めなくなってしまっていませんか。

「テストでよい点数が取れて、頑張ったね。」「お手伝いをたくさん頑張ってくれてありがとう。」子どもの頑張りに対して、きちんと言葉にして頑張りを認めたり、感謝の気持ちを伝えたりすることももちろん大切ですが、子どもが親に対して求めているのは、何かを頑張ったから誉めてもらえるだけでなく、自分の存在そのものを認めてくれる親の存在です。

◆自己肯定感の低い子どもが増えている

「自己肯定感」とは、自分の価値や存在の意義を自分自身で認められることを言います。今、この「自己肯定感」の低い子どもが増えているのです。

自己肯定感の低い子どもは、何かに挑戦しようとするとき、「また失敗してしまったらどうしよう。」という不安な気持ちばかりが先立ち、自分の行動にブレーキをかけてしまうようになります。自分の殻にこもるようになり、周囲とのコミュニケーションがうまくいかず、社会の中で孤立してしまう傾向にあります。

この「自己肯定感」の低さは、幼い頃に親から無条件に認めてもらった経験が少なく、頑張っている自分でないと認めてもらえないと感じながら大きくなった子どもに多い傾向です。特に、誕生日のアピールをする子どもには、こういった状況の子どもが多く、親からの無条件の肯定と愛情を求めている傾向が強いです。

◆子どもの成長に大切な「自己肯定感」

こうした自己肯定感の低い子どもには、以下のような傾向があります。

・他人と比較して落ち込んだり、劣等感の意識が強い。
・何事に対してもいつも、「自分にはできない」と思ってしまう。
・自分で決めて行動するという主体性に乏しく、周囲への依存度が高い。
・人のために頑張ることができない。

「自己肯定感」は、子どもの成長してきた過程に、大きく影響しています。以下のような環境で育った子どもは、自己肯定感の低いまま大人になる可能性が高いです。

・虐待を受けたことがある。
・親に褒められたり、認めてもらえたりする機会が少なかった。
・自分で物事を選択する機会が少なく、過保護に育てられた。
・親に自分の話をあまり聞いてもらえなかった。

こういった経験をしてきた子どもは、自己肯定感の低いまま成長していき、大人になってからも自分の行動に自信が持てず、社会の中で孤立してしまいがちです。

◆子どもへの無条件な肯定には、こんな言葉をかけてあげたい

このような自己肯定感の低い子どもには、普段から親が、子どもの存在自体を肯定をする言葉かけと、子どもへ無条件の愛情を、積極的に意識的にかけてあげることが大切です。

例えば、以下のような言葉を、子どもに対してかけてください。

・「生まれてきてくれてありがとう。」
・「あなたは私たちの宝物だよ。」
・「無事に帰ってきてくれて嬉しい。」

などの言葉です。

子どもが落ち込んでいるときや、自信を無くしている様子のときは、以下のような言葉をかけてあげることも大切です。

・「頑張れないあなたも大好きだよ。」
・「どんなことがあっても、私たちはあなたの味方だよ。」
・「勉強ができなくても、成績が伸びなくても、どんなあなたでも大好きだよ。」

こういった言葉を親からかけられることで、子どもは、できない自分自身のことも肯定できるようになります。そうすると、「頑張っている自分でないとだめなのだ。」と考え、さらに落ち込んでしまう子どもと比べて、どんな自分でも肯定してもらえた子どもは、さらに頑張るエネルギーが湧いてくるのです。親からの無条件の肯定が、子どもの更なるエネルギーになり、子どもはさらにいろんな場面で意欲的に活動していきます。

また、「大好き」「幸せ」「楽しい」「嬉しい」「ありがとう」などの言葉を、普段からよくかけてあげることも、子どもの「自己肯定感」を高めるために、大切な言葉です。

◆子どもの誕生日にこそ伝えたい言葉

自分の誕生日をアピールする子どもは、無条件な親からの肯定と愛情を求めています。誕生日は、こういった子どもの存在そのものが、親にとって大切だということを伝える絶好の機会でもあります。

日本人は欧米人に比べて、愛情を表現することに恥ずかしさを覚え、積極的に愛情を口にしない傾向にあります。しかし誕生日こそ、特に積極的に、いつもより特別な形で、子どもへの肯定と愛情を表現する日です。

少し口下手で、直接言葉で伝えるのが恥ずかしい場合は、手紙やカード、LINEなどのメッセージを通して、文字で肯定や愛情を伝えることも一つの手法です。

文字は形としてずっと残るため、何度も見返すことができますし、言葉にして伝えるには少し照れくさい言葉も、文字であれば伝えやすいかもしれません。

また誕生日には、子どもが産まれたときに、周囲がとても喜んだ話など、いつもより特別な話もしてあげてください。

あなたがお腹に来てくれてから、産まれるまでのお母さんの嬉しかった気持ちや、おばあちゃんやおじいちゃん、お父さんの様子や気持ち、産まれるまでの病院での大変だった様子や、その分産まれてきてくれた時の嬉しさがとても大きかったことなどを伝えることで、子どもは、自分が産まれてきたこと=自分の存在自体を親が肯定してくれていると感じます。こうした無条件の肯定こそ、子どもの自信につながるのです。

◆子どもには無条件の愛情で、無条件の肯定を

親からのちょっとした一言は、それからの子どもを長く支える生涯の『言葉の宝物』になります。親の愛情を深く感じて育った子どもは、それだけで心の満たされている子どもにな成長します。

「自分が幸せでないと、他人を幸せにはできない。」という言葉はよく聞きますが、愛情で心の満たされている子どもは、他人への気遣いや優しさにも溢れた子どもになり、いろんなことに挑戦をしたり、周囲とのコミュニケーションも円滑にできる子どもに成長します。普段から、子どもの存在を肯定する言葉で、子どもを愛情いっぱいの言葉で包んであげてください。