2011年に東日本大震災が起きたとき、被災した子どもたちの精神状態を確認するために、子どもたちに絵を描いてもらうという取り組みが行われました。この取り組みには、子どもたちの目線から見た東日本大震災を記録するという意味もあった一方で、子どもたちの描いた絵の色彩から、子どもの心理状況を読み解くとう意味も持っていました。

そのときに有効活用されたのが、子どもの色彩心理です。
色が子どもに与える影響は大きく、子どもの好む色は、子どもの心の成長を現します。また、色が子どもの心理に与える影響も大きく、子ども部屋や教室などの空間を作る色の選び方も重要です。

◆子どもが描く色=子どもの自然な心の欲求の現れ

母の日にお母さんの似顔絵を描いたとき、お母さんの髪の毛をピンク色で描くなど、本来のお母さんの髪の色とは別の色を描いた子どもがいたとします。このようなとき、「お母さんの色はピンク色じゃなくて、黒色だよね。」などと、子どもの描いた色に対して、指摘をしてしまっていませんか?

子どもの描く色からは、子どもが自然と出している心の欲求を読み解くことができます。今回のように、本来の髪の毛の色ではないけれど、お母さんの髪の色にピンク色を描いたときは、その子どもが「幸せな気持ち」「優しい気持ち」になって、お母さんの似顔絵を描いたことがわかります。

このように、子どもの描く色は、色ごとに子どもの心理状況を現していて、子どもの心の欲求を読み解くチャンスでもあります。

〇色からわかる子どもの心理状況

色ごとに、子どもたちの心理状況を知ることができます。

・赤

興奮している。元気がいっぱいなとき。
活動的なとき。赤ばかりを描いたり、黒と一緒に使ったりするときは、愛情不足なことに不満を持っている可能性がある。

・ピンク

幸せなとき。優しい気持ちのとき。
好きな子がいるときに選ぶ色でもある。

・黄色

楽しいとき。うきうきしているとき。気分が高揚している。
注目してほしいという自己アピールや、もっと愛されたいという欲求を現す色でもある。

・緑

リラックスしている。落ち着いているとき。
普段は緑を使わない子が頻繁に使うようになったときは、身体が疲れている可能性もある。

・青

集中している。冷静なとき。
自立心の高い子どもが好む傾向にある色。眠たいときにも使う。

・紫

癒されたいときに使う傾向が高い。
何かショックなことや、病気などにかかったときに選びやすい色。

・白

正義感が強い。自信を失っているとき。気分転換したいとき。
神経質な子どもが選ぶ傾向にある。

・黒

恐怖や不安が強いとき。抑制されている感情があるとき。

事件や事故などにあった子どもは、特徴的な絵を描き、色遣いにもそれは現れます。一方で、子どもの満たされた気持ちや、物足りない気持ちなども現すのが、子どもの描く色です。

1枚の絵で、たくさんの色を使ってカラフルな絵を描く子どもは、心理状態が良好な証です。子どもが描いた色を否定せずに、色から子どもの心の欲求を読み解いてみてください。

◆好きな色からわかる子どもの心の成長

〇明るく見えやすい色を好む幼少期

生後半年までの間、人は「赤・青・黄」の3色しか見分けることができません。子どものおもちゃが、赤青黄などのはっきりした色で作られているのは、そのためです。こうした色合いを、「キッズカラー」とも呼びます。

生後半年以降は、他の色も識別できるようになってきますが、幼少期は紫色を嫌うことが多いです。これは、紫がほとんど自然界にはない色のため、「不自然な色=危険なもの」として認知しているからと言われています。

〇小学生になると、男女間で色の好みが分かれる

幼少期は本能から色を選びますが、小学生になってくると色の好みがでてきます。小学生の頃は、明るい色を好みがちで、暗い色などを好きになるのは、もう少し成長してからのことが多いです。

小学生の色の好みは、男女間で分かれます。

・男の子
好きな色 1位 青  2位 赤  3位 緑

・女の子
好きな色 1位 水色 2位 桃色 3位 青

あるアンケートの結果からもわかるように、男の子は青や赤などの「原色」を、女の子は水色や桃色などの「淡い色」を好む傾向にあります。

これらの好きな色は、心の成長とともに、黒や茶、紺色などの色も好むようにもなります。これは、心が成長した証でもありますが、小学生などの幼い頃に、黒や茶、紺色などの暗い色や、濃い色、ある一定の色を固執して好む場合は、精神年齢がとても高いか、何らかの心の悩みを抱えている可能性もあります。

◆色の効果を利用する“色育(いろいく)”

〇色が子どもに与える影響

色の効果で子どもたちの集中力や想像力、コミュニケーション力などを育てる“色育(いろいく)”という言葉もあります。一般社団法人 日本色育推進会という組織が提唱している言葉です。色にはパワーがあり、特に子どもたちは、その影響を受けやすいと言われています。

〇子ども部屋や教室の「色」

例えば、ある学校では、壁紙の色を、楽天的で自律神経を刺激し身体を活発にするといわれえる「オレンジ色」から、冷静さを与え、体温を低下し精神的に落ち着かせる作用があるといわれている「青色」に変えたところ、教室内の子どもたちの血圧が17%も落ち、さらに落ち着きも取り戻すようになったそうです。

この例のように、色が子どもたちに与える影響は大きく、特に勉強部屋や子ども部屋などの色合いには気をつけたいところです。

子ども部屋は、赤青黄などのカラフルな色で元気よくコーディネートしたくなりますが、色が強すぎると、視覚的にストレスがかかり、呼吸や心拍数が上がるなどの影響が出ます。しかし、白や黒などの同一色でまとめた場合も、緊張感が高まってしまうため、どこかに差し色を使うことで、心が落ち着く部屋になります。

子ども部屋に限らず、部屋の色彩を決めるときは、白やベージュなどの落ち着いた色合いの「ベースカラー」と、部屋の雰囲気を作る差し色として「アクセントカラー」を使うといいと言われています。

〇色の持つ効果

色の効果には様々なものがあり、特に青色は、集中力を高め、気持ちを静める効果があります。精神的にも肉体的にも安定した状態を保つ働きがあり、子どもの勉強部屋などにお勧めの色です。しかし、青色ばかりを多用しすぎると、寒々とした印象になってしまうため、気をつけたい色です。

緑色は落ち着きを与え、ベージュ色はリラックス効果があり、オレンジ色は兄弟の調和を高める効果があります。

それぞれの色には、それぞれの色が持つ効果がありますが、子どもの性格によって、内向的な子には寒色系、外交的な子には暖色系などの色を使うと、子どもの心に負担の少ない部屋作りができるかもしれません。