子どもの心理検査とは、広い意味で知能水準や発達水準、パーソナリティといったことを評価するための検査のことを言います。

特に子どもに実施される心理検査には「知能検査」と「発達検査」「人格検査」といったものがあります。それらの代表的な種類とその概要、特徴をご紹介いたします。

はじめに、子どもにこういった心理検査を実施する目的は、障害の有無を診断することではありません。それよりもむしろ、子どもの発達状態や困難な状況に対して客観的な情報や助言を提供して、より適切な指導の方向性を考えることが目的であります。

子どもの成長や実態に合わせた適切な心理検査を実施することで、他の同年代の子ども達の中で相対的な位置や、その子どもの能力の発達段階やバランス具合を知ることができます。

ここで、「知能検査」と「発達検査」では、どのような検査があるのか紹介いたします。

田中ビネー式知能検査

2歳から成人まで、幅広い年齢に適用することができる知能検査です。多角的な総合検査であります。

14歳以上の被験者には精神年齢を算出しません。偏差値知能指数のみを算出するようになっています。14歳未満の子どもにも、必要に応じて偏差値IQを算出できるようになっています。ただし、採点マニュアルを参照すると、偏差値IQは比率IQより厳しめに数値が出る傾向にあります。また、14歳以上の子どもには、結晶性、流動性、記憶、論理推理といった4つの分野について、それぞれのIQを算出することができます。

フランスの心理学者であるアルフレッド・ビネーが開発、創案し、発展させた知能検査に基づいて、日本での使用を目的として内容の改訂が進められてきた知能検査です。

他の知能検査、発達検査と比較して実施の手順が簡便なものです。そのため、子ども自身にとっても検査実施者にとっても精神的・時間的な負担が少ないことが大きな特徴であります。

児童向けウェクラー式知能検査(Wechsler Intelligence Scale for Children)

6歳から16歳までの子どもを対象として個別に実施されます。

国際的に広く用いられている検査方法ですが、日本では特に現在、いわゆる軽度発達障害の子どもへのアセスメントに用いられることがあります。検査には読み書きは伴いません。検査結果は全検査知能指数および、それぞれの子どもの認知領域における能力を示す「言語理解指標」「視覚空間認識指数」「流動性推理指数」「ワーキングメモリ指数」「処理速度指数」といった5種類の一次指標値で示されます。

この検査の特徴は、全般的な知能水準が測定できることに加えて、言語性の知能指数(VIQ)と動作性の知能指数(PIQ)の2つの知能発達の状況をみることができることです。

さらに、言語理解(VC)、知覚統合(PO)、注意記憶(FD)、処理速度(PS)といった4つの「群指数」という指標を求めることもできるため、より詳細に子どもの知能発達を測定、分析することができるようになっていることも大きな特徴です。

アメリカの心理学者であるデヴィッド・ウェクラーによって開発されました。

K-ABC心理・教育アセスメントバッテリー(Kaufman Assessent Battery for Children)

適用年齢は2歳6か月から12歳11か月頃です。KaufmanA.S.とKaufmanN.L.が作った知能検査であります。「臨床心理学」の心理アセスメントにおける主要な検査のひとつです。

また、心理学的観点のみでなく、教育的観点を持っていることもK-ABC心理・教育アセスメントバッテリーの特徴です。

検査方法は、14つの下記課題より構成されています。

「魔法の窓」「顔さがし」「手の動作」「絵の統合」「数唱」「模様の構成」「語の配列」「視覚類推」「位置さがし」「表現ごい」「算数」

「なぞなぞ」「言葉の読み」「文の理解」

以上これらの各課題には適用年齢が定められています。認知処理過程尺度(心理尺度)と習得尺度(教育尺度)の2つの独立している尺度から構成されるアセスメントバッテリーであり、両方向から子どもの全体像を詳しく分析することができます。

次に「人格検査」ですが、こちらも大きく分けて「質問紙法」「作業検査法」「投影法」といった3つの種類があります。

それらの概要と特徴は以下のようです。

質問紙法

あらかじめ用意されたさまざまな質問項目に「はい」「いいえ」「どちらでもない」などを段階を分けて回答していく方法であります。

Y-G性格検査、CMI健康調査表、顕在性不安検査、自己評価式よくうつ尺度、MMPI=ミネソタ多面人格目録などがあります。

この方法の長所としては集団実施が実施しやすいことや、客観的に測定できるため統計的な解析が可能であることが挙げられます。

短所としては、回答バイアスが生じやすく、無意識的な側面が測定できないことが挙げられます。

作業検査法

一定の作業をおこなうことで、その作業内容を分析していきます。その分析を通じて人格の特性を理解する方法です。クレペリン精神作業検査法、ベンダー・ゲシュタルテストなどがあります。長所としては、言語能力の依存が少なく、回答の歪みも生じにくいことが挙げられます。短所はこの方法で得られる情報が多くないことが挙げられます。

投影法

さまざまなとらえ方ができるような絵や模様、文章などに自由に回答してもらうことによって、その子どもの心理パーソナリティを診断する方法です。書き出しの言葉に続けて文章を書くSCT、絵を見ながら物語を作るTAT、インクのシミが何に見えるかを回答するロールシャッハテストなどがあります。

長所としては、無意識的な側面を測定することができることが挙げられます。短所としては、集団実施が困難なことや、結果の解釈に主観が入りやすいことなどがあげられます。

最後に

以上が子どものための代表的な心理検査の紹介です。もちろん、その他の心理検査方法もあります。検査を受診の際は、検査機関とよく相談してより適切な方法をお選びください。

また、子どものための心理検査は公的病院や民間病院、児童発達支援センターやその他の機関で受けることができます。

受け方や費用、検査内容は各病院や施設によって異なります。受診する際は、受ける病院や機関等に問い合わせて確認してください。