子どもの将来について想像した時、自分が親であれば、子どものいつ頃の姿を想像しますか?多くは、大学入学や就職の時のことではないでしょうか。しかし、子どもの将来を考えるということは、子どもの大学入学や就職までのことでなく、子どもの人生そのものについて考えるということです。子どもの将来育成のために大切なことを考えていきます。

◆子どもの将来を考えること=子どもの「人生」を考えること。

子どもの将来について考えるとき、多くの親は、子どもが大学に入学することや、大手の企業に就職することなどを想像します。しかし、子どもの将来とは、大学入学や就職のときまでのことなのでしょうか。

子どもが企業に就職して働き始めてからの子どもの将来について、親は、「孫ができるかどうか」や「自分たちの老後の面倒を見てもらうこと」を考えます。しかしそれは、子どもの将来というよりも、自分の将来を考えていることです。

どういう大学に入るか、どういう企業に就職するかはもちろん大切です。しかし、いい大学に入ってもコミュニケーションがうまく取れず、恋人や友達が出来なかったり、一流企業に就職しても、日々を楽しんで生活できていなかったりという人は意外と多いものです。

子どもの将来を考えるということは、子どもの大学入学や就職についてだけではなく、子ども自身がどのような人生を送るかについて考えることです。

◆子どもの可能性を広げること

子どもの将来育成のために大切にしたいことの1つ目は、「子どもの可能性を広げる」ことです。

〇子どもの職業観を育成

子どもの可能性を広げるためには、できだけ多くの事柄を子どもたちに提示し、子どもが興味を持ったことに対して応えることが大切です。

幼い子どもに、将来なりたい職業について聞くと、テレビの戦隊ヒーローや、ケーキ屋さんなどと答える子が多いです。最近であれば、小学生が一番なりたい職業はYouTubeだとも言います。これらは、子どもたち自身が知っている世界が、それらに限られているからです。

子どもたちは具体的なシーンを見ることによって、仕事への憧れを抱きます。そしてその職業への憧れが、学業やスポーツなどを頑張る源にもなります。職業人に、「今の仕事になぜ就いたのですか。」と質問すると、
・憧れの先生がいたから、教師になりました。
・車が好きだから、自動車整備士になりました。
・動物が好きだから、獣医になりました。
・グローバルに働きたいから、通訳になりました。
などの答えが返ってきます。

子どもたちは、何らかの体験からその物事に興味・関心を抱き、それが子どもの職業観の育成につながるのです。子どもの職業観を育むことは、子どもの将来の選択肢を広げることになります。

〇自主的に勉強をする子どもになる

将来やりたいことができると、子どもは自主的に勉強するようになります。大人でも子どもでも同じですが、自分自身が「やりたい。」と思ったことに対しては、苦しいことでも頑張って乗り越えようとする力が湧いてきます。その思いが強ければ、強いほど、その原動力も大きくなります。

親が子どもに、「勉強をしなさい。」と言う場面はよく目にする光景ですが、人にやりなさいと言われても、子どもはなかなか勉強しません。「やりなさい。」と親が子どもに指示をするのではなく、子ども自身が興味関心を抱く体験をさせ、そこから子どもの原動力を造り出すことで、子どもは自主的・意欲的に勉強しだします。

面倒くさいなと思いながら勉強するのと、「この勉強をして、僕は獣医になるぞ。」などと明確な目標を持って勉強する子どもでは、成績の伸びも大きく違ってきます。

〇子どもの職業観を育成するためには

では、子どもの原動力を引き出すような興味関心は、どのような体験から生まれるのでしょうか。まずは、子どもが興味を持った事柄に対しての体験の場を持つことが大切です。

例えば、自分の子どもに公務員になって安定した収入を得てほしい、と思う親は多いですが、その親の気持ちをそのまま「将来が安定しているから、公務員を目指しなさい。」と伝えると、親の押し付けになり、子どもの自主的な興味関心が生まれません。

親からの言葉で伝えるのではなく、なぜ公務員がよいのかを、具体的に子どもがイメージし、自らその答えを探しだせる体験の機会を設けることが大切です。例えば、市役所や町のイベントに親子で一緒にでかけたり、実際の職場の様子を見に行ってみたり、公務員として働いている人と会える機会があれば尚よいかもしれません。

◆子どもの話をよく聞き、親子のコミュニケーションを大切にすること。

子どもの将来育成のために大切にしたいことの2つ目は、「子どもの話を聴く」ことと、「親子のコミュニケーションを大切にする」ことです。

例えば、ある塾に親子がやってきたとき、ある親御さんはこう言います。「この子は有名私立を志望しているので、厳しく指導してください。本人もそれを目指しています。」しかし、親が帰宅したあとなどに、子ども本人と色々と話しをしてみると、親の意向と子どもの意思が違うということがよくあります。

しかしこのような場合、先述したように、親の強制力によって勉強をする子の成績はあまり伸びません。子ども自身の気持ちを何より大切にし、尊重することが大切です。

子どもの反抗期は、遅かれ早かれ、どの家庭にもやってきます。いずれ来る反抗期に備えるためにも、普段から親子の会話などのコミュニケーションを活発にとることも大切です。そしてその際は、親の気持ちを押し付けるのではなく、「子どもの話を聴く」こと、「子どもの意思を尊重すること」を大切にしてください。

◆親は見守り、子どもに選択をさせること

子どもの将来育成のために大切にしたいことの3つ目は、「子どもに選択をさせる」ことと、「親は待つ」「見守る」ことです。

子どもは、自分の力で変わることができます。親が不用意に子どもの将来に干渉し、子どもの将来を決めるのではなく、あくまで子どもの興味関心について導き、見守る姿勢でいることが大切です。

例えば、子どもが靴を履くのに手間取っているとき。親が手を貸して、靴を履かせてあげることは簡単です。しかし、そうではなく、子ども自身が自分で靴を履けるまで、親は「待つこと」「見守ること」が大切です。

また、自分で物事を考え、決定できるようになるために、電車移動の際に、切符の購入から、電車の路線や乗り換えについて子どもに考えさせて移動してみるという体験や、アウトドアにでかけたり、音楽を聴きにコンサートに行ってみたりするなど、五感を使って様々なことを体験できる機会を多く設けてください。

そして、子どもは他人と比べて落ち込みやすいですが、「〇〇くんに剣道の試合で負けてしまった。」「〇〇さんよりテストの点数が低かった。」などと話してきたときには、子どもが頑張ったことを誉めてあげます。

子どもが自分で選択し、行動していけるようになるまで、親が無用な手出しをせず見守ることは、実はなかなかに大変なことです。急いで出かけようとしているときに、靴を履けなくて手間取っている子どもがいたら、親が手伝ってあげたほうが早く出発できますし、電車の移動についても、子どもにスケジュールを立てさせるより、親が考えたほうが、早くて確実です。

しかし、そこで親が手伝ってしまえば、子どもの成長の機会を摘み取り、子どもの興味関心を深める体験の機会を奪ってしまうことになります。「待つこと」「見守ること」は、親にとってなかなかに大変なことではありますが、子どもの将来を考えたときには、大変重要なことです。