「大人」になるということは、どういうことを意味するでしょうか。「大人」の定義については様々な捉え方があり、大学入試の小論文のテーマになることもあるほどです。経済的に自立していること、年齢的に大人であること、責任の能力がうまれること、精神的に自立していることなどが考えられますが、あなたの考える「大人」とは何でしょうか。

◆「大人」とは?

「大人」を定義するうえで、まずは年齢的に定義することができます。

〇お酒や煙草は「大人」になってから

日本では20歳を迎える年に成人式を行い、年齢的に「大人」になったことが、社会的に認められます。そして同時に、お酒や煙草などの、ある程度の節度を持って使用することが求められる娯楽品なども、自分の責任で自由に利用することができるようになります。

これは、「大人」としての責任能力があると社会的に認められたことを意味します。なぜ、お酒や煙草が日本では20歳まで禁止されているかを考えたとき、それにはいくつかの理由があります。

〇身体的・知能的な成長の違い

1つは、お酒や煙草に含まれる成分が、身体的・知能的な成長を止めてしまうからです。人の身体は、子どもの頃に大きく成長します。例えば身長で考えたとき、人生の中で、短期間に伸びる身長の伸び幅が一番大きい時期は、産まれてから4歳頃までと、思春期の時期です。10~12歳頃は、身体的能力が一番伸びやすい時期として、「ゴールデンエイジ」とも呼ばれています。

これは、身体的特徴に限らず、知的能力の面においても同様で、様々なものを吸収し急成長するのは、子どものときです。これらの身体的・知能的機能の成長を止めないためにも、お酒や煙草の幼少期の接種は禁止されています。

「大人」は、そういった身体の機能がある程度完成されているため、法律的にも許されていると言えるでしょう。

〇責任・自己判断能力の違い

そしてもう1つとして、お酒や煙草は依存性が高いからという理由もあるでしょう。

アルコール依存症や、ドラック依存症、ギャンブル依存症などの依存症になる大人もいますが、こういった娯楽品は、適度な摂取量と頻度を守らないと、依存症になって健康を害してしまいます。しかしその一方で、責任能力が大きくなり、社会の中でストレスと戦う大人たちにとっては、お酒や煙草を使用する時間は、リラックスすることができる時間にもなります。

このことから、「大人」は、責任能力が増える分、ストレスも増えるが、そのために行動の範囲や自由も増える、と言えるでしょう。

◆精神的な意味での「大人」とは

しかし、アルコール依存症などの依存症に陥る大人がいるということは、法律的に自己判断能力があると認められた年齢でも、自己管理能力に欠け、「大人」になりきれていない人もいることを意味します。

では、大人になるということは、年齢的なこと以外に、どういったことを指すでしょうか。

〇あなたの周囲で「大人」だなと感じる人々

自分の周囲の人で、精神的に大人だなと感じる人にはどのような特徴がありますか?

例えば、幼い子どもでも、周りからの質問に落ち着いて答えていたり、まだ学生であっても、自分のしたいことをはっきりと見つけて、それに向かって努力していたりする人を見たとき、「大人」だなと感じるかもしれません。

逆に、年齢的には大人でも、冷静に行動すべき場所で、周囲の迷惑を考えずにはしゃいでいたり、自分の事ばかりを考えて、お店の人に我が物顔でクレームをつけたりしている人を見た時、人間的に「子ども」だなと思ったことはありませんか?

〇「大人」の定義

「大人」であるということは、様々なことで定義ができます。

・経済的に自立していること
・経験の数が多いこと
・責任能力があること
・精神的に余裕があること
・自分だけのことではなく、周囲を見る広い視野があること
・自分の意思を持っていること

年齢的に「大人」を定義することはできますが、本当の意味での「大人」は、これらの精神的な意味での定義によって成り立つのではないでしょうか。

◆「大人」になるために

精神的に「大人」になるということは、様々な経験を経たことによって、それが可能になります。そういう意味では、年齢的に大人になるということと、精神的に大人になるということは、両方が成立してこそ、「大人」と言えるのかもしれません。

しかし、その経験を経て精神的に成長することは、人よってそのタイミングやペースは異なります。様々な環境下の元で、それぞれにそれぞれの経験を、どう捉えて自分なりに成長していくかが、「大人」になっていくためには、大切なことです。

◆「子ども」にはできて、「大人」には難しいこと

〇「子ども」と「大人」の違い

子どもの頃、「大人になったら、自分で色々なことが自由にできる!」とわくわくしていませんでしたか?大人になった今はどうでしょうか。「大人になってみたら、大人は社会に縛られて全く自由ではない。」と嘆いていたりしませんか。

しかし、大人は本当に自由ではないのでしょうか。大人になれば、親からの援助なしに自分でお金を稼ぎ、自分でそのお金を自由に使うことができます。入ってくるお金も、出ていくお金も全て、自分の責任で自由に、稼ぎ方と使い道を選ぶことができるのです。

それなのになぜ、「大人は自由ではない」と感じてしまうのでしょうか。それは、大人は子どもに比べて、一歩を踏み出すことに勇気がいるからです。

様々な経験を積み、失敗も成功も経験してきたからこそ、新しいことに挑戦することには、それなりの覚悟と勇気が必要になります。大人が自由でないのではなく、「自分自身を自由に動けないように縛ってしまっている」のです。

〇「子ども」の気持ちを持ち続けている「大人」

しかし、「大人」であっても、いつまでもいい意味で「子ども」な人もいます。

そういう人たちは、いつも好奇心に溢れていて、物怖じせず踏み出していく人たちです。子どもは経済的に自立できないため、怖いもの知らずで自由奔放です。その分、たくさんの経験をし、失敗や成功の経験を積み重ねていくことで、精神的に自立をしていきます。

大人になっても、そういった子どもの頃の気持ちを忘れずに、様々なことに挑戦していく人たちもいます。失敗をすることは怖いですが、自分たちの今があるのは、子どもの頃の失敗があってこそです。

「大人」と「子ども」の違いは、その失敗の責任を、自分で取るのか、親が取るのか、の違いとも言えます。

大人になって、失敗の責任を自分で取らないといけなくなっても、その責任や失敗によるリスクをきちんと理解して受け入れたうえで、いつまでも色々なことに興味や関心を持って挑戦を続けていく「子ども」であり、「大人」な人であれば、さらに成長し続けていくことができるでしょう。