親の子どもへの愛情は、様々な形で表現し伝えることができるため、その形は家族ごとにそれぞれです。虐待や言葉の暴力など、周囲から見ても、明らかに親から子どもへの愛情が欠けていると見て取れる場合もありますが、平和的に過ごしているように見える家庭においても、子どもは親からの愛情不足を感じていることがあります。

それらの愛情不足が、大人になってからの子どもの性格に大きな影響を及ぼします。

◆親の子どもへの愛情とは?

〇親は愛情を注いでいるつもりでも

例えば、親は愛情を注いでいるつもりなのに、子ども側は親からの愛情を充分には感じていないケースがあります。この場合の親は、表向きは「子どものことを考えて」いますが、本心は「親の気持ちを押し付けて」、様々な子どもの意思決定をしている場合が多いです。

親は、特に初めての子どもの子育てなどの場合、神経質になるあまり、つい子どもの気持ちではなく、親である自分の気持ちを押しつけてしまいがちになります。親が、自分の気持ちに余裕を持てないときなどに、そうなることが多いです。

子どもも一人の人間であり、子どもながらに自分なりの意見や、自分なりに挑戦してみたいことなど、それぞれの自分の意思をしっかりと持っています。しかしそれらに対して親が、最初から用意してあった答えまで導いたり、自分の意見を押し付けて子どもの考えや意見を奪ってしまったりすることで、親子の信頼関係はだんだんと崩れていってしまいます。

こういった親子の場合は、特に進路などの様々な意思決定が多くなる思春期に、子どもとのトラブルが多くなります。

〇共働きの家庭の場合

また、物理的に子どもと過ごす時間の少ない共働きの両親も、子どもへの愛情が不足していないか注意してください。

多忙であるがために、どうしてもテレビやタブレットを子どもに与えて時間を過ごさせてしまいがちですが、そればかりだと、子どもは愛情不足を感じて大人になっていきます。子どもは、親と過ごす時間や、親と直接肌が触れる時間によって愛情を感じています。

子どもが大きくなるのは本当にすぐです。親が子どもと一緒に過ごしたいと思っても、子どもは友達と遊ぶからと言って、すぐに一緒に遊んでくれなくなります。

毎日の仕事で大変ななかでも、子どもが幼い頃は、今しかない一緒に過ごす時間を大切にして、少しでも子どもと一緒に過ごす時間を作ってみてください。

〇兄弟のいる場合

兄弟がいる場合、親はどうしても1人目の子どもに時間をかけてしまいがちです。また、年の上の子どものほうが、下の子よりもできることが多いのは、年齢差がある分当然のことですが、そのことに対して、「お兄ちゃんはできているのだから、あなたもちゃんとやりなさい。」などと、兄弟と比較して叱ってしまうと、子どもは深く傷つきます。

親は、兄弟それぞれと、できるだけ同じくらいの時間と愛情を注ぐことと、兄弟間で比較して叱らないようにすることが大切です。

◆子どもの頃に愛情不足で育った大人の特徴

このように、親からの愛情が十分でないまま大人になった子どもには、大人になってから、いくつかの特徴があります。

〇依存体質になりやすい

子どもの頃に親からの愛情が不足していた場合、大人になっても強く、周囲からの愛情を求め続けます。「自分のことをもっと愛してほしい」「認めてほしい」という気持ちが、子どもの頃に満たされなかったため、大人になってもその気持ちが続くのです。

そのことで、恋愛に依存して恋人が同時に何人もいたり、自分一人での行動ができず、常に誰かと一緒でないと何もできないような大人になっていきます。

〇自己評価が低い

親からの愛情を充分に受けられずに大人になった子どもたちは、「自分が親に愛されなかったのは、自分が悪い子だからだ。」「自分はこの世に存在する価値がない」という価値観を持って大人になります。

そのため、大人になってからも自己評価が低く、自分に自信がないので、人の顔色を伺ってしか行動できなくなったり、心から笑えず、愛想笑いばかりをするようになり、人間関係や恋愛がなかなかうまくいかない大人になっていきます。

〇人を信じることができない

また、愛情が不足して育った子どもは、人に対し懐疑的な心を持ったまま大人になるため、人をなかなか信じられなくなります。また、好きな人、大切にしたい人ができたときも、人との近い距離感慣れていないので、愛情表現がうまくできなかったりします。

◆子どもの頃に愛情たくさんで育った大人の特徴

一方で、子どもの頃に愛情たっぷりの家庭で育った子どもには、以下のような特徴を持った大人になりやすいです。

・心に余裕があり、良い人間関係を築きやすい
・自己評価が高く、自分に自信がある
・人への甘え方がうまい
・人に優しい
・考え方が前向きで、ポジティブな思考を持っている
・気持ちの切り替え方が上手

愛情をたくさん注がれて育った子どもは、よく褒められたり認められたりして育ったため、自己評価が高く、自分の心に余裕があります。自分の気持ちが満たされている人は、他人に依存して自分の承認欲求を満たす必要がないため、自分を高めることに時間を使います。

また、人から愛情を注いでもらったり、困ったときに助けてもらったりした経験が多いことで、自分自身も相手に対して、同じように接することができるようになります。

◆愛情不足な子どもの出すサイン

親からの愛情が不足している子どもは、自然とそのサインを出しています。周りの大人は、その子どもの出すサインを感じ取ってあげてください。

・夜泣きやおねしょが多い
・爪を噛んだり、自分の髪を抜いたりする
・嘘をつくようになる
・人の物を盗んだり、万引きをしたりする
・感情を表に出さない
・不登校になる

このようなサインを出している場合は、子どもが親からの愛情を求めている証です。

こういったとき、親はまず、子どもとの時間をこれまでよりももっと、充分に作ることから始めてください。親が子どもに対して真剣に向き合うことで、子どもも少しずつ心を開き始めます。

そして、子どもを一人の人間として認め、子どもの話をしっかりと聞くことが、子どもの愛情不足を解決するために、何よりも大切なことです。