「いい子症候群」とは、子どもが親の顔色を伺いながら、いい子でいることに努めることを言います。「親から認めてほしい」「無条件の愛情がほしい」という気持ちを持つ子どもたちが、「いい子症候群」になりやすいです。教育評論家の尾木ママが、自身の子どもがいい子症候群になった経験を語ったことで、有名になった言葉でもあります。

◆「いい子症候群」とは

「いい子症候群」とは、親に気に入られたい、認められたいという気持ちから、「いい子」の行動をとる子どものことを言います。「いい子」との違いは、自然と取った子どもの行動であったのか、親の顔色を伺いながら取った行動なのかというところにあります。

例えば、ある子どもが、一生懸命に勉強をしています。その「いい子」の行動が、「この勉強が面白いからもっと頑張ってみたい」という子どもの自然な気持ちからうまれた行動なのか、日頃からあまり親に褒めてもらうことが少なく、「お母さんに褒めてほしいから頑張りたい」という気持ちからうまれた行動なのか、子どもの「いい子」の行動には背景があります。

〇気付きにくい「いい子症候群」

「いい子症候群」の子どもは、普段から「いい子」であるために、その子どもが自分に無理をしていい子でいるのかどうかが、親にとっては分かりにくいことも多いです。

実際に、教育評論家の尾木ママは、自身の子どもはチョコが好きではないと思っていたけれど、実際はチョコを食べないほうが親が喜ぶから親の前でチョコを食べることを我慢していたということを、子どもが産まれてから20年後に知ったそうです。

教育評論家の先生でも、「いい子」と「いい子症候群」の子どもを見抜くことは難しいようです。しかし、いい子症候群の子どもがそのまま大人になったときに、子どもは社会の中での生きづらさを感じるかもしれません。

子どもが、「いい子症候群」でいるようであれば、そのことにまずは気付くことが大切です。

◆「いい子」症候群の子どもに見られる特徴

「いい子症候群」の子どもには、以下のような特徴がみられます。

〇反抗期のない子ども

反抗期がないことはよいことだと思うかもしれませんが、子どもの成長の過程において、実は反抗期はとても大切な時期です。

親とぶつかる経験を通して、自分の意見を主張する術を身につけるのが反抗期です。反抗期がなく、親とぶつかることがない子どもは、親に対しての自己主張が少なく、親に対して自分の気持ちを抑えがちだともいえます。

〇親の指示がないと不安な子ども

何かについて聞かれたとき、「どちらでもいい」と答えたり、自分の意思を主張できない子どもも、自分の気持ちを抑えて、周囲の反応を伺いながら行動していることが多いです。

例えば、「パンかご飯かどちらが食べたい?」などと聞かれたときに、自分の気持ちをすぐに答えることができないことが多い子どもは、普段から自分の意思でなく、親の指示に従って行動していることが多いかもしれません。

このような子どもはの言動は自発的なものでなく、いつも受け身で誰かの指示の元に行動するために、自分で考える力が弱かったり、自ら考えて行動することが苦手な子どもになったりします。

〇自己主張の少ない子ども

泣いてぐずったり、だだをこねることが少ないなど、自己主張の少ない子どもも、「いい子症候群」かもしれません。そういった行動をとることで、親を困らせてしまうことを意識している子どもたちは、自分の感情を抑えてしまいがちになります。

自分で考えてとった行動が、親などの期待に沿えず、「親に叱られたり、失望されたりしたらどうしよう」という気持ちがどんどんと強くなり、益々自分の気持ちを主張しなくなっていきます。

◆「いい子症候群」の子どもが大人になったとき

こういった「いい子症候群」の子どもたちが大人になったときには、以下のような特徴があります。

・自己肯定感が低い
・自己主張が少ない
・指示待ちでしか動けない
・落ち込みやすい
・人からどう見られているかが気になる
・断るのが苦手
・人に助けを求めることが下手
・傷つくことを恐れる
・感情の現し方が下手

いずれも、自分が子どものときに「いい子症候群」でいた時と同じような傾向が、大人になってからも現れます。

こういった子どもは、自己主張や自己表現をあまりしないまま大人になるため、大人になってからも自分のしたいことがわからないことが多いです。また、何か物事に取り組むときも、自己肯定感が低く、自信が持てないために、社会生活の中で困ることが多くなります。

◆「いい子症候群」の子どもの親の特徴

「いい子症候群」になる子どもの親には、以下のような特徴があります。

〇条件付きの愛情

子どもを誉めるときに、何か成果が出たときだけ誉めていませんか?テストでいい成績を取ったとき、お手伝いをしたときなど、子どもがよい行動をしたときだけに、子どものことを誉めていると、子どもは自然と、「何かを頑張らないとお母さんには誉めてもらえない」と思うようになります。

何かの成果に対してだけ誉めるのではなく、頑張った過程に対しても、普段から子どもを誉めることが大切です。そうすることで子どもは、失敗しても頑張ったことに意味を感じたり、失敗した自分でも親は認めてくれたりすることを知り、親の顔色を伺いながら、行動をすることが減ります。

〇親の叱り方

子どもを叱るときも、その叱り方には注意してください。「~しなければ〇〇ちゃんのこと、お母さんは嫌いになるよ。」などというしつけ方をしていると、子どもは親に嫌われないよう普段からの行動を気をつけるようになります。

その結果、親の顔色を伺いながら行動する「いい子症候群」になりやすいです。

〇親が子どもの意思決定をする

「サッカーがしたい」「ピアノが習いたい」などの子どもの意思を尊重せずに、親が子どもに習ってほしいと思う習い事を、子どもにすすめていたりしませんか?

親の気持ちに敏感になっている子どもは、親が習ってほしいと思っていることを感じ取り、親に気に入られたい一心で、例えば、「習字を習いたい」などと自ら言ってくることもあります。

自分の意思ではなく、親が喜ぶからという動機で始めた時に、習い始めてみてから習字が好きになったり、得意になったりすればいいですが、始めてはみたものの、面白くなかったり、あまり上達せず辞めたくなったりするときがくるかもしれません。

そういったときに、「自分でやりたいと言って始めたのに辞めるの?」などと、子どもを責めたりすることはよくありません。なぜ始めたいと言った習い事を今後は辞めたくなったのか、その子どもの気持ちに、まずは親が耳を傾けることが大切です。

◆子どもを「いい子症候群」にさせないためには

子どもを「いい子症候群」にさせないためには、親の考えや想いを子どもに伝えながらも、子どもの気持ちも尊重することが大切です。親の考えを子どもに押し付けるのではなく、まずは、子どもの話をよく聴いてあげてください。

子どもに自己主張をする機会を普段からたくさん設けて、その自己主張を尊重してあげることで、子どもは自分自身のことを認められるようになり、親の行動を気にしながらではなく、自分の考えで行動するようになります。