子どもが病気や怪我で手術を余儀なくされた時に子どもがどんな心理状態になり、周りの医師や看護士、親などの関わり方の研究がなされています。その研究文献をみていきますと、手術前後のケガや病気の状態によって、慎重な対応が求められるという研究事例があります。子どもの心理が「手術」という大きな不安に対してどう変化するのか、周りの大人がそれに対してどう対応するかについて明らかにします。

1.子どもの心理研究事例より手術前後の不安を抑えるためにできること

子どもに手術の必要性をわからせることが一番になります。手術の種類にもよりますが、どんな手術であるかは、学齢期以上の子供に対しては必ず必要になります。医師は、子どもに対して手術に伴う処置や苦痛(時には麻酔)についての説明をわかりやすく行います。研究によりますと、ここでの説明がよくわかり親御さんからのサポートがしっかりとしていれば手術への準備が十分に整ったと言えます。

しかし、手術においては親と離れることもあります。また、手術は術後の痛みという不安が現実になることもあります。研究事例によりますと、上述のように、手術前に子ども心理に対して十分な準備ができていれば、親を含めた周りの大人との信頼関係で、傷みという不安要素が軽減されるものです。この手術前の準備こそが手術後の不安に対応できる重要な要素になります。

2.心理研究事例からわかる親が行う子どもへの手術前の準備

(1)子どもの心理を考えて親が行う手術前の準備

①子どもへの説明

子どもの手術となりますと、親も心理的に非常にしんどい状態になり、子どもとどう向き合ったらいいかわからなくなるというケースが事例研究でも多く取り上げられています。その中でも、年齢に応じた子どもへの説明の仕方、不安にさせない方法、嘘をつくということなどで悩まれています。

子どもの心理状態を考えて手術の不安を取り除くことこそが親の役割であるという自覚は必要なことです。そのためには、担当医師や看護士との良好な信頼関係をつくっておかなければなりません。子ども心理にとって大切な手術前の準備を、研究事例を学んできている医師や看護士から十分に助言を求めることが大切です。

②親自身の準備

我が子が手術をするという状況において冷静でいられる親はいないでしょう。子どもの前ではあくまで冷静に話すことが重要ですが、子どもと離れた(病室を出た)時には、不安やあせりという感情が大きくなります。医師や看護士から十分な情報を得て信頼して過ごすことです。医師や看護士も親御さんに説明をする時にはわかりやすい言葉を使いますが、時には研究された専門用語を使って話をしますから、そういうときには「○○とはどういうことですか。」という質問をどんどんすればいいのです。

また、親として入院日や手術日、それまでの準備、家族待合室の場所や利用可能時間など多くの情報を知っておかなければなりません。さらには、手術前後の投薬の有無などどんな処置を行うのか、入院はどの病室になるのか、親の泊まり込みが可能かなど、前もって医師や看護師、受付担当に聞いたり調べたりしておくことは、子どものためにも親自身のためにも重要な準備になります。

(2)親が行う乳幼児期の子どもへの手術前の準備と留意点

子ども心理の研究によりますと、子どもの手術を担当する医師や看護師はある程度子どもの年齢に応じた対応をしてくれます。親としては医師などの助言を聞きながら、困っていることや悩んでいることは率直に質問をすることが大切です。研究された手術前後の子どもの心理状態を年齢に応じてしっかりと把握しているのは医師であり看護師です。特に対応が難しいとされる乳幼児期の子どもの手術時の親の対応と留意点、学齢期以後の子どもの心理と親の対応についてご紹介します。

①乳児期

乳児期は、物の把握を十分できません。痛みなどの刺激によって「泣く」という動作で反応します。ですから、手術というものについての怖さを感じることはありません。ただ、母親とのスキンシップがなくなるという不安はあります。お気に入りのおもちゃやおしゃぶりを持たせて少しでも安心させてあげることです。

②幼児期

幼児期は1歳から5歳という幅があり、子ども心理の研究においても、幼児期に学ぶさまざまなことは、その子どもの人間形成に大きく影響するとされています。幼児期前半は好きなキャラクターなどを非常に大切にします。手術においても術前、術後そばにおいてあげると安心します。幼児期後半は、その子どもが好きないろいろなお話や遊びを積極的に取り入れるなどして、気を紛らわせてあげることも必要です。では、手術に臨むにあたって幼児期に留意すること5点をご紹介します。

・医師や看護師は子どもに応じてやさしく接しますが、子どもにとっては初めて出会う人です。親としては「先生はこう言われているのよ。」という補足説明をすること

・子どもから離れる場合は、どこに何をしに行くかを正直に伝えること

・「先生にここを治してもらうからね。」と幼児期の子どもにもきちんと説明すること

・お医者さんごっこなどケガや病気に関わる遊びを積極的に取り入れること

・叱らないこと

わがままを思い切り言わせてあげましょう。手術という大きな出来事に遭遇したときには、子どもの心理状態は非常に敏感になります。研究等で明らかになっていますが、手術を受けた幼児期の子どもは、その時の怖さがトラウマになって残ります。できるだけゆったりとした時間を過ごすことができるようにしてあげることです。

③学齢期以後

学齢期以後の子どもの手術対応では、はっきりと「体のどこが悪いのか」「ケガによって手術が必要である」ということを具体的に説明してあげ、手術後にこうなる(治る)ということをしっかりと話して安心させてあげることが必要だと研究によって明らかになっています。不安は大人と同じようにありますから、手術ということを通して親子の対話が生まれ信頼関係につながることが多いのです。

子どもの心理研究から明らかにされる子どもの手術時の親の対応・まとめ

子どもの手術における心理状態への対応についての研究は、医師や看護師の間でも積極的に行われています。子どもの心理は、年齢や生活環境、手術時の精神状態等によって大きく変わりますから、どの子どもにも当てはまるというものではありませんが、親としての心構えという点では非常に参考になります。