子どもは大人と同じように、様々な状況下でストレスを抱えます。しかし、大人と異なるのは、まだ幼いためにそのストレスへの対処法や、周囲の大人にどう助けを求めたらよいかなどが分からずにいることが多いです。子どもが抱えているストレスに気付き、対処するには、まずは子どものストレスについて知ることが大切です。

ストレスに対する反応の種類

ストレスに対する反応は、大きく分けて3種類あります。

① 心理的なストレス反応

気分や感情として現れ、不安、恐怖、落ち込み、緊張、怒り、罪悪感、感情麻痺、孤独感、疎外感、無気力、イライラ、憂鬱などの感情が現れることを心理的ストレス反応と言います。

心理的機能の変化として、集中困難、思考力の低下、短期の記憶喪失、判断力・決断力の低下などの障害が現れたりもします。ストレスを受けたことでさまざまな考えやイメージがわき、不安になったり落ち着かなくなったりします。

② 行動的なストレス反応

行動的なストレス反応は、怒りが爆発して、喧嘩などの攻撃的な行動にでたり、誰かをいじめる、ものに当たる、物に手を出す、泣く、ひきこもる、急に誰かに抱きつく、怒る、指をしゃぶるなどの行動で現れるストレス反応のことを言います。

③ 身体的なストレス反応

身体的なストレス反応は、動悸、異常な発熱、疲労感、嘔吐、下痢、のぼせ、めまい、しびれなどの全身に関わる身体の変化のことをさします。

子どもの場合は、お腹が痛い、胃が痛い、眠れない、おしっこがしたくなるなどの行動が、行動的なストレス反応として現れることが多いです。

子どものストレス反応

このようなストレス反応の中でも、幼い子どもは、ストレスを自覚したり、言葉にして他人に伝えたりすることができないために、ストレス反応の中でも特に、行動的ストレス反応、身体的ストレス反応として現れることが多いです。

行動的ストレス反応としては、動物や、自分の兄弟などをいじめるようになったり、物の扱いが乱暴になったり、友達と揉めて喧嘩して帰ってくるなどの様子が見られるようになります。

身体的ストレス反応として、お腹が痛いなどと子どもが頻繁に訴えてくるようであれば、それは子どもがストレスを抱えている証です。

ストレスを自覚したり、言葉にして訴えたりすることが苦手な子どもたちは、ストレス反応として、そのストレスを周囲の大人に伝えています。周囲の大人たちは、それらのストレス反応にいち早く気付き、対処していきたいものです。

子どもがストレスを感じるとき

大人が、自分の生活のルーティンや、職場や近所などの普段からよく付き合う人など、周囲の環境が変わればストレスを抱えるのと同じように、子どももそのような環境の変化に対してストレスを受けやすいです。

特に子どもがストレスを抱えやすいのは、入園時や入学時のため、その頃の子どもの様子には気をつけたいです。入学時と入学時では、子どもの感じるストレス内容が異なります。

入園時の子どものストレス

入園するまでの子どもは、ほとんどの時間を親と過ごします。友達と会うときや、公園で遊んでいるときなど、他の子どもと一緒に遊ぶこともありますが、1日の中の数時間です。幼稚園や保育園に入ることによって、知らない友達と1日の多くの時間を共に過ごすことになります。

そのために、今までは自分一人や、兄弟などと使っていたおもちゃや遊具などを、幼稚園・保育園のみんなで使うようになります。「自分だけのもの」だったおもちゃや遊具が、「みんなで使うもの」に変わったことによって、子どもは戸惑いを覚え、ストレスに感じます。

また、それまでは親子で過ごす時間が多く、親がそばにいてくれることで、安心感を得ていた子どもたちですが、入園後は、そばにいる大人が、親から保育者に変わります。入園後しばらくして、保育者との信頼関係ができれば、子どもにとっても保育者が安心できる存在になりますが、入園後しばらくは、安心できる大人がそばにいないことから、子どもは不安を抱え、ストレスを抱きやすくなります。

入学時の子どものストレス

一方、小学校入学時には、長時間椅子に座って人の話を聞くことや、勉強やスポーツなどでの成績をクラスメイトと比べるようになり、子どもたちはそれらのことに対してストレスを感じやすくなります。

このように、入園時や入学時など、大きな環境の変化が起こるときには、周囲の変化にすぐには順応できず、大人と同様、子どももストレスを抱えやすいです。

 

子どものストレス反応に対してできること

子どもがストレスを抱えているなと気付いたとき、周囲の大人は子どもに対してどのようなことができるでしょうか。

頭痛、腹痛などの痛みを子どもが訴えているとき

子どもの緊張がほぐれ、気持ちが落ち着くことを一緒にしてあげることが大切です。温かいタオルで身体を暖めてあげたり、深呼吸やマッサージなどを行ったりしてください。

絵本を読んだり、音楽を聴く、散歩をするなども効果的です。

怖い夢を見る、夜中に目が覚めるなどの睡眠に関する悩み

暗闇に不安を覚えている場合もあるので、電気を弱めにつけて就寝してみてください。添い寝をしたり、子どもが眠りに入るまで、そばで寄り添って絵本を読むなど、子どもを安心をさせてあげることが大切です。

落ち着きがない、攻撃的になるなど子どもの行動が気になるとき

周囲の刺激になるものを減らし、落ち着ける環境をまずは作ってあげます。

落ち着きがない、注意が散漫になっている、攻撃的になっているなどのいずれの場合も、今の行動をいつまで、どこまでやるのかの具体的な行動の見通しを子どもに立てさせます。

そして、自分の立てた計画通りに、時間になったらやめさせることを繰り返しながら、ここまではやってよいという限界を決めることが大切です。

人と会いたがらず、家に閉じこもるようになったとき

子どもの反応に対して、無理強いをして外に連れ出すことはあまりよくありません。日常の生活の中で、人に会う時間や場所を決め、子どもの生活のペースを整えることで、まずは安心させてあげることが大切です。

親と離れるのを嫌がるとき

子どもが親と離れたがらないのは自然な反応のため、親が焦ったり、無理に引き離そうとはせずに、まずは子どもを抱きしめたり、目線を合わせて子どもと話をするなど、子どもに安心感を与えることが大切です。

そのうえで、保育園などに子どもを預けるときなどは、親が迎えに来る時間を、小学生の子どもなどを家で留守番させるときなどは、親が家に帰ってくる時間など、親と会える時を、明確に子どもに伝えて、子どもを安心させます。

困ったときや寂しいときに、いつでも親と連絡が取れるという安心感を与えるために、連絡先などを伝えておくと、子どもは安心して親と離れることができるようになります。

子どものストレス反応に対して

子どもにとって親が安心できる居場所になる

子どもがストレスを抱えたときに、親が一番に安心できる場所を作ってあげること、親と一緒にいる時間が安心できるものにしてあげることが大切です。

「そんなことは大したことではないから頑張りなさい。」などと、子どもの辛い気持ちを否定することはよくありません。子どもの気持ちに寄り添い、理解しようとする姿勢を示してください。子どもは、親が一番の理解者であると感じることで、心が落ち着き、ストレス反応も穏やかになっていきます。

子どもが自分で問題を解決する=ストレスに立ち向かう力

子どもがストレスを抱えていると感じたときには、「今でなくてもいいから、話したくなったらお母さんにいつでも話してね。」などと、いつでも味方でいることを伝えてあげるのも大切なことです。

しかし、親が子どもの代わりに何でも問題を解決してしまうことは、その後の子どもの生き方を考えたうえでも、よくありません。親は子どもの味方であることを伝え、安心できる場所であることが必要です。ストレスに強くなるためには、子ども自身が問題に立ち向かうことで、問題自体を解決する力をつけていくことも大切です。