子ども心理学では、子どもが病気になったとき子どもの精神状態は非常に不安定になります。これは、子どもは病気についての知識をほとんど持たないことに起因しています。また、子どもが病気になってしまったときには、親は心配のあまり「代わってあげたい」という気持ちになります。そこで、親が子どものためにできることは何かということについて子ども心理学の観点からご紹介します。

子ども心理学から学ぶ「病気になった子どもに親がすべきこと」

(1)病気で孤立した子どもに対してできること

子ども心理学上、子どもが病気になって一番不安になるのが「孤立」です。大人になって孤立を味わうとわかることですが、「自分はいったいどう動けばいいのか」「自分の味方になってくれる人はいるのだろうか」などという不安に陥ります。大人の場合には、自身で解決したり友人などに相談したりして解決しますが、子どもの場合、特に病気によって孤立を味わうことになったときには、大きな不安を感じるものです。

子ども心理学で「孤立は、いじめや不登校の原因になる」とあるほど深刻な問題です。しかし、病気は誰もが避けて通れないものです。子どもが乳幼児期に病気になりますと、子ども心理学上精神的に不安定になります。また、乳児期にはわからなかった病気の症状が幼児期になって「こんなにしんどいけど大丈夫なのか」という不安が大きくなっていき、病気を抽象的に理解する子どもの心は非常に不安定です。

親は、子ども心理学上経験させたくない「子どもの孤独」という不安を、時には子ども以上に受け止めることになります。子どもの病気が入院を伴うようなものならば、親は身を削ってでも子どものためにできることを考えなければなりません。ここで、親としてどんなことができて、留意することは何かについてご紹介します。不安や心配は、子ども以上のものになりますから、子どもが病気になったときこそしっかりとした気持ちを持って子どもに接しなければなりません。

①「友だちのことを知りたい」思いに答えてあげること

子どもが病気になると孤立しますが、この孤立の中の気持ちには「友だちはどうしているんだろう」という不安があります。子どもに親しい友人がいる場合にはその友人の様子を伝えることも大切です。「○○さんも心配してるって。」という一言で子どもの不安は和らぎます。スマホなどで簡単に連絡が取れる時代ですから、年少の頃には親が友だちの親と連絡を取り合って、時には見舞いに来てもらうことをお願いしてみるのもいいです。

②学校や園と連絡を蜜にすること

家や病院は、学校と違って静かなことも影響しています。親としては、子どもの年齢にもよりますが、学校や園と連絡を密にすることです。どんな勉強をしているのか、行事ではどんな活動をしたのか、学校側ももちろんお便りなどで報告してくれますが、子どもが学校のことで聞きたいことを察知して親が聞いてあげることも大切です。「学校に行きたい」という気持ちは、子ども心理学では病気になった時に非常に大きくなりますから、その気持ちをわかってあげることも大切です。

(2)子どもの病気を通して「ピンチをチャンスに」

孤立して不安を感じる病気ですが、子ども心理学としては親子関係が深まるチャンスという捉え方もあります。「病気になって娘との会話が増えて、全快してからも良好な関係を築けている。」「息子が入院して今まで父親として何もしてやれなかったことを実感して、退院後いろいろなところに出かけるようになった。」などと「ピンチをチャンスに変えた」事例も多く、親子関係が子どもの病気によって大きく変わることもあります。親子関係の修復、大人との触れあいというチャンスに変えた事例をご紹介します。

①病気の子どもとともに日記をつける

SNSが普及しています。SNSは病気による子どもの孤立を和らげるものとして役に立ちます。しかし、子ども心理学上、SNSを通しての交流は現実からは離れていて、現実の交流による人間関係作りには到底及ばないといわれています。病気の子どもには、親や友人など、本当に心配してくれる人の存在が必要です。

次のような事例があります。「娘が入院して、親子で交換日記を始めた。その日の思いをありのままに書くようにした。はじめは「書くことがない」と言っていた娘が徐々に孤立感や不安、悩みを書いてくれるようになった。私も主人をはじめとして悩んでいることを書くようにしていくと、娘も父親や私への思いをストレートに書いてくれるようになり、非常にいいコミュニケーションができるようになった。」

現代社会において、日記と言うアナログ的な手法で古典的と思われるかもしれません。しかし、日々手書きのブログという形で自分自身の成長を残しておられる方もおられます。この媒体を通して親子交流をすることは、子どもが病気になって入院するということがなければなかなかできることではありません。しかし、SNSではなく日記という形だからこそ子どもの病気への不安を取り除いた事例だといえます。心理学的にも非常に大切なことです。

②入院すれば多くの大人との交流が得られる

子どもが病気で入院となったときには、子ども心理学的にも当初は不安でいっぱいですが、徐々に和らいでいきます。それは、同じ年頃で入院している子どもや、医師や看護士、見舞いに来ている大人との交流があるからです。中でもいろいろな大人との交流は、入院という機会がないとできません。幼少期の子どもなら多くの大人と触れあうことは大切なことですし、思春期やそれ以後の子どもにとっては、大人の考え方を知る機会にもなります。

子ども心理学から学ぶ「病気になった子どもに親ができること」・まとめ

子ども心理学において、子どもが病気になったときの心の状態は不安定になります。親としてその不安を取り除くために努力することは怠ってはいけません。そして、「ピンチをチャンスに」という言葉通りに、親子関係をよりよくする、改善するチャンスでもあるのです。万一長い入院ということになったときには、親がしっかりと子どもの心身の状態を把握し、医師や看護士とともに子どもの病気を受け止め、精神的な支援を計画的に行う必要があります。