子どもへの心理的アプローチは、心の病や発達障がいの疑い等に対して、その子どもに応じた心のケアをしていくことです。子どもは、その年齢に応じていろいろな思いを持って生活をしています。親はその子育てにおいて子どもの言動に耳を傾け、時には子どもの様子を感じ取って「何か変だぞ」という思いを持ちます。

心の悩みを持つ子どもへの心理的アプローチ

親や教師が、子どもの態度や様子の異変に気づくことは非常に大切で、子どもの心の病への早期の心理的アプローチにつながります。子どもの心に悩みが生じますと、子どもの言動や様子に表れ、その状態が悪化してしまうといじめや不登校、暴力などの行動に出るようになってしまいます。

子どものこれらの行動は、「ある日突然やってくる」ものではありません。きっかけや原因はそれぞれですが、必ずその子どもの態度や様子に変化があるはずです。子どもの心の悩みへの心理的アプローチをすすめる中で、親が「何となく気づいていたが、大した変化ではないと見過ごしてきた。」という後悔の言葉をよく聞きます。

子どもの心の病への心理的アプローチは、そんな親の後悔から始まるのです。家族心理カウンセラーがよく問いかける言葉に「後悔した場面はどんなときですか。」があります。その瞬間の気づきが子どもの心理的アプローチに必要になります。子どもへの心理的アプローチでは、社会生活に馴染めるように、不登校状態の気持ちを少しでも和らげるために、心理療法(ロールプレイング手法(役割演技)や心理検査、遊び)を用いて改善していくことになります。

発達障がいの子どもへの心理的アプローチ

発達障がいは、遺伝や乳幼児期の疾患などが起因して脳の発達になんらかの異常が生じ、行動や言語、他者とのコミュニケーションに障がいが発生する障がいと捉えられています。発達障がいを親の育児の問題だとする意見もありますが、この障がいは病気であるといえます。発達障がいには、大きく分けますと次の2つに分類されています。

・アスペルガー症候群

他者の考えや気持ちがわからないためコミュニケーション能力が劣る。他者とのコミュニケーションが成り立たないことが多く、子どもに寄り添った心理的アプローチが必要。

・注意欠陥・多動性障がい

集中力、注意力欠陥、よく動き回り落ち着きがない。学校の教室の様子を見ても自分の身の回りの整理ができず、散らかしっぱなしでも気にならない。また、じっとしていられないのが特徴ですから、時間をかけて心理的アプローチを行う必要がある。

この発達障がいの子どもは、学校のクラスに6人に1人いると言われるほどになっています。発達障がいの子どもへの心理的アプローチもなされていますが、多くの場合に、心理カウンセラーなどの専門家の手を借りて訓練や検査を行うことによって、社会生活に影響しないほどに馴染むことができるようになります。ここで、発達障がいの子どもへの心理的アプローチについてご紹介します。

臨床心理学で研究されている内容をみますと、発達障がいの子どもにも個性があり、それぞれの子どもに対しての教育、支援方法が異なります。ですから心理的アプローチ法もさまざまなケースに対応できるようにしなければなりません。そのアプローチ法でよく用いられるのが、ロールプレイング手法です。

①他者の思いや感情がわかるようになるために

障がいのある子どもと援助者が、買い物や学校での一場面(考えるような場面やトラブルの場面など)を想定し、それぞれが役割を決めてその人になりきって演じるものです。

このロールプレイング手法は、心理的アプローチとして学校現場や福祉現場でも積極的に取り入れられています。その人の立場に立って考えたり、自分の立場が変わったりして相手の感情というものの変化を、身を持って感じることができます。それが、相手の立場になって考えるきっかけになります。

②落ち着いて考える、行動することができるように

ロールプレイング手法のもう一つの効果は、楽しくおもしろく体験ができるということです。「このゾウさんが仲間に入れないようと言って困っているよ。私(援助者)がゾウさん、何と言ってあげたらいいかな。」という遊びの中でしていた会話を「友だちが忘れ物をして困っているよ。私(援助者)がその友だちです。何と言ってあげたらいいかな。」と、実際の生活場面に置き換えます。こうすることによって、子どもは「困っているゾウさん」と「困っている友だち」を一体化させて考えるようになります。発達障がいの特徴である「落ち着いて考えたり行動したりすること」ができるように心理的アプローチをしていきます。

今後ますます重要になる子どもへの心理的アプローチ

デジタル時代の今、スマホやゲーム依存に陥る子どもが増えています。そういう子どもがふと気づいた時に「心の病」を感じることになる場合もあります。人間として生きていくにあたって必要な他者とのコミュニケーション不足に陥るのです。そんな時には、心療内科などでその子どもに対して心理的アプローチを試みることになります。

医師や専門家が心理的アプローチのスキルを持って、子どもの対応にあたることになりますが、今では教師や福祉士として子どもの教育にあたる人も臨床心理学に基づく心理的アプローチのスキルを身に付けています。教育現場でも増え続ける発達障がいや心の病を抱えた子どもに対して、勉学だけではなく、支援教育の一環として心理的アプローチを取り組んでいかなければならない時代にあります。

子どもへの心理的アプローチに挑む・まとめ

子どもは、さまざまな環境に出会い年齢に応じてその受け止め方や感じ方は違います。子どもの心は、成長途上において、何らかのきっかけで「心が折れる」状態になってしまうほど弱いものです。心理的アプローチをタイミングよく行うことができたなら、子どもの悩みや不安は軽くて済むでしょう。そのためにも「子どもの変化に大人が気づくこと」は非常に大切なことだと言えます。また、発達障がいの子どもについては、相談をすることで社会生活に支障のないところまで成長できますから、早期に心理的アプローチを専門家にしてもらうことが重要です。