子どもは様々な時期を経て、身体的にも心理面でも成長していきます。子どもの身体的発達、情緒的発達、知的発達や社会性の発達等といった、子どもの成長における様々な側面は、それらが相互に関連しながら総合的に発達していきます。子どもは親をはじめとする周囲の人や自然との関りの中で、主体的に学び、行動し、様々な知識や技術を身に着けていくとともに、自己の主体性や人への信頼感を形成していきます。

子どもの「乳児期」、「幼児期」、「学童期(小学校低学年)」、「学童期(小学校高学年)」、「青年前期(中学校)」、「青年中期(高等学校)」といった発達段階ごとの成長における主な特徴や傾向を、発達心理学の観点から以下に紹介していきます。

発達心理学とは、人間の生涯を通じた心理面、身体面における成長、発達過程を心理学の理論を背景として研究している心理学の一分野です。人の精神発達過程を明らかにし、また、心のはたらきや行動の仕組みの一般を発達変化の側面からとらえようとする心理学ともいえます。

この発達心理学からの視点を理解することで、子どもの教育や成長に関しての大きなヒントが得られると考えられます。

乳児期における発達心理学

乳児期の子どもは、生まれた環境への急激な変化に対応し、著しい心身の発達とともに、生活リズムの形成を始めます。とても敏感な心を持っていて、特に視覚、聴覚、嗅覚といった感覚は敏感です。泣く、笑うといった表情の変化や、身体の動き、なんご(赤ちゃん言葉)によって、自分の欲求を表現します。また、親をはじめとする大人との関りの中で、愛されること、大切にされることで情緒が安定し、人への基本的信頼感を育んでいきます。

特に、抱っこ等のスキンシップは大きな役割を果たすといわれています。

乳児期は人に対する信頼感の獲得が、発達段階として重要となります。

乳児はこの時に形成された信頼感を心の拠りどころとし、徐々に周囲の人にはたらきかけ、はいはいや歩行の開始といった行動を広げていきます。日常生活の中で言語や行動を身に着けていく時期であります。

幼児期における発達心理学

幼児期になると、身近な人や周囲の物、自然等の環境との関りを深め、興味や関心の対象を広げていきます。そして、認識力や社会性を発達させていくとともに、食事や排せつ、睡眠、衣服の着脱といった基本的な生活習慣を形成していきます。

また、子ども同士で遊ぶことを通して、豊かな想像力を育むとともに、他人の存在や視点等に気づき、社会性や協調性、道徳性の基盤を身に着けていきます。

また、特に幼児期には「甘えてくる」といった行動が目立つようになります。子どもが甘えてくる場合は、拒絶することなく受け入れてください。可能な限り子どもとの時間を作ることや、抱っこ等のスキンシップを積極的にしてあげることが重要となります。子どもの甘えてくる行動を受け入れることで、子どもは安心感を覚え、それはやがて自己肯定感の向上につながります。

学童期(小学校低学年)における発達心理学

小学校低学年の子どもは、幼児期の特徴を残しつつも、「大人がしてはいけないと言っていることはしてはいけない」といったように、大人の言うことを守る中で、善悪についての理解と判断ができるようになります。そのため、この時期は「人としてやってはいけないこと」についての認識や知識の形成が重要となります。さらに、言語能力や認識力も高まり、自然等への関心が増える時期でもあります。そのため、自然や美しいものに感動する心の育成も重要となります。

幼児期に社会性を身に着けていない場合は、小学校に入学するが周囲の子どもと上手に人間関係を作れない、集団生活になじめないことにより、心理的にも不安やストレスを感じることがあります。いわゆる「小1プロブレム」という形で、問題が顕在化することが多くなってきています。

学童期(小学校高学年)における発達心理学

小学校高学年になると、子どもはものごとをある程度対象化して認識することができるようになります。自分のことも客観的にとらえることができるようになるが、その一方で発達の個人差も顕著になってきます。身体も大きく成長し、自己肯定感を持ち始める時期でありますが、発達の個人差が大きくみられることから、自己に対する肯定的な意識を持てないことや、自尊感情の低下などにより、周囲に対して劣等感を持ちやすい時期でもあります。

また、集団における規則を理解して、集団活動に主体的に関与したり、友達との遊びの中で自分たちのルールを作るようになります。そのため、この時期は集団における役割の自覚や主体的な責任意識の育成が重要となります。

青年前期(中学校)における発達心理学

中学生になるこの時期は思春期にあたり、人間関係や勉強、部活動等における悩みや葛藤に直面することが多いです。その中で、自らの生き方を模索し始めるモラトリアム期でもあります。

この時期は大人との人間関係よりも、友人関係を重視する傾向にあります。さらに、親に対する反抗期でもあり、親子のコミュニケーションが不足しやすい時期でもあります。

同世代の仲間同士の評価を強く気にする反面、他人との交流に消極的になることもあります。そのため、不登校になりやすい時期でもあります。

また、異性に対する関心が高まり、性意識が高くなる時期でもあります。

青年中期(高等学校)における発達心理学

高校生となる時期は、親の保護のもとから、自立した大人になるための最終的な移行時期であります。思春期ゆえの混乱から落着き、大人の社会を展望するようになり、大人の社会でどのように生きていくのかという課題に、真剣に直面する時期でもあります。

そのため、この時期は、自らの将来に真剣に向き合うことが重要となります。社会の一員としての自覚をもった行動ができるようになる必要があります。

 

子どもが成長するにあたって、それぞれの時期において本人にとっても親にとっても大変な課題がそれぞれあります。身体面と心理面の両面が深く関与しながら様々な課題に直面し続けます。それぞれの時期における重要なことや、特徴を理解し、しっかり面倒をみることで、子どもは健やかに成長していきます。