子どもは特に年齢が低ければ、受ける刺激や経験したこと、感じたことがその後に与える影響が大きいと言われています。幼少期に身体や脳が飛躍的に発達するため、その時に直面したことで知能や運動能力、感受性が出来上がります。
そのため、幼少期により良い刺激を与え、子どもの心を育んであげたいものです。

幼児期に受ける刺激は重要

幼児期の脳は3歳までに約80%が完成するといわれています。さらに6歳までに約90%、12歳までに100%ができあがるともいわれており、それまでに受ける脳への刺激は、子どもを育むうえでとても重要となります。脳が形成されている間に受ける刺激は、子どもにとってこれからの性格、知能、運動能力に決定的な影響を与えます。そのため子どもの間に、脳にとっていい刺激を与えたいものです。
どのようなことをすると、子どもに良い刺激を与えることができるかですが、典型的な具体的な方法として「本を読み聞かせること」や「褒めること」があげられます。
その「本を読み聞かせること」と「褒めること」のポイントと、子どもにどのような良い刺激を与えるのかを以下に紹介します。

本を読み聞かせる

本は子どもの感受性を豊かにし、豊かな心を育むために有効なツールです。
子どもが小さいうちから本を読み聞かせることで自然と豊かな心を育てることができます。
また、寝る前に子どもに本を読み聞かせることは、以下のような効果があります。
・言葉の読み書きの発達を促す、語彙力を伸ばす
・脳の発達を促す
・社会的なスキルを向上させる
・親子関係を築くための良い影響を与える
・子どもを幸せな気分にさせることができる
・想像力を育む
・感情を豊かにする
・本が好きな子どもに育つ
・子どもの興味を引き出す

さらに、幼少期に本を読み聞かせることで、小学校以降の成績が向上するとも一部の研究でいわれています。
もし子どもが本の内容を先に言ったり、知ってることを話した時には、褒めてあげるといいです。子どもが覚えたことを口にすることができたということなので、ちゃんとほめてあげるのが望ましいです。そうすることで、子どもは自信をつけることができます。
また、本の内容について親子で話すことも、子どもの心理的、内面的に育むために有効です。親子のコミュニケーションにもなりますし、本を読み聞かせることによる効果をさらに高める可能性があります。

褒めることは大切

子どもに豊かな心を身に着けてほしいのなら、褒めることは有効です。褒めることは、子どもの脳の発達や心を育むためにもとても重要です。じ子どもを褒めることによる効果は以下のようです。

・ものごとに挑戦したいという気持ちが育つ。意欲的に取り組む気持ちが育つ
・子どもの自己肯定感が育つ
・子どもが自信を持ち、ポジティブ思考になる
・思いやりを持った子どもに育つ
・社会規範を守れる子どもに育つ
・子育てが楽しくなる

次に、子どもを褒めるためのポイントを紹介します。

・結果ではなく過程を褒める
・具体的に褒めてあげる
・「感謝」「感動」「成長を喜ぶ気持ち」を伝える
・些細なことでも褒めてあげる

具体例として、子どもが逆上がりの練習をしている場合をあげます。
まず過程を褒めるということは、この場合逆上がりの練習を一生懸命していることです。「頑張って練習しているね。立派だね」等といったように子どもに練習を頑張っていることに対する褒め言葉をかけてあげましょう。そうすることで、子どもが練習してもなかなか逆上がりができない時、励ますことができます。そしてものごとに対するやる気や、チャレンジ精神を向上させることにもつながります。
また「具体的に褒めてあげる」ことの例として、練習を頑張っていることに対しての褒め言はそれにも該当します。さらに子どもが最終的に逆上がりができた時は、そのことに対する褒め言葉も具体的に褒めている言葉になります。
次に、「逆上がりができるようになって、お母さんも嬉しいよ」といったように、子どもの成長を喜ぶ気持ちを伝えることは、子どもを褒めることと同じような効果があります。
さらに、逆上がりの練習の後に、子どもが「今日はとてもおなかがすいた」と言った時も些細なことですが褒めてあげることが望ましいです。「いっぱい頑張ったからおなかがすいたんだね。やるじゃないか」等といったように明るく褒め言葉をかけるといいです。
子どもは褒められることで、自分を認めてもらったと思うようになります。そして、次も頑張ろう、頑張ることは楽しい、等と前向きな気持ちを育むことにつながります。

子どもは親を見て育つ

子どもに良い刺激を与えることは重要ですが、実は与えようとしていなくても子どもが受けている刺激があります。親や周囲の大人の態度や動作を、子どもは真似して成長します。これを心理学上で「モデリング」といいます。
「子どもは親の背中を見て育つ」や「子どもは親の鏡」という言葉があるように、古くからも同じようなことが言われていて、近年の心理学でもそれに否定的な見解はありません。
極端な例ですが、例えば親が子どもに「人に暴力をふるってはいけません」と何度も言い聞かせたとしても、その親が他人に暴力をふるっている場面を見ると子どもはそれをマネします。また、話し方や食事の仕方といった、日常の些細な動きも子どもは影響を受けます。子どもと一緒にいる時は、日頃の親のちょっとした言動が子どもに大きな影響を与えることを心がける必要があります。特に問題のない日常動作を見せることで、子どもの生活態度を育むことができることになります。
また、親以外にも友達や兄弟、テレビのシーン等といったものからも影響を受け、子どもが真似をするということがわかっています。テレビのヒーローやキャラクターの真似を子どもがするといった例がそれに該当します。子どもの目に入るものすべてが、子どもが真似をする可能性があることを意識して、子どもに真似してほしくないものは子どもには見せないといった対応も場合によっては必要となります。

子どもの脳や体が形成される期間に受けた刺激や、見たもの、感じたものが子どもの心を育むうえで重要な意味をもちます。「本を読み聞かせること」や「褒めること」は子どもの心を育むための有効な手段となります。ただし、大人の真似を想像以上に子どもはしがちなため、日頃の大人の態度や動作の影響を受けながら子どもは育まれることも心がける必要があります。