子どもは大人の表情をよく観察し、大人が思っている以上に多くの情報を得ています。そのため、子どもと接する際には、大人が気を付けるべきポイントや、してはいけない行動があります。子どもはとても敏感な感性を持っているため、少し注意しなければならないことはありますが、しっかりと愛情をこめて接すると、大人との信頼関係を築くことができます。

発達心理学や子ども心理学に基づいた、子どもと接する時に心がけるべきことを以下に紹介していきます。

目と目を合わせること

子どもは安心感や信頼感をスキンシップやアイコンタクトで感じ取ります。さらに、それが情緒の安定にもつながるともいわれています。コミュニケーションを取る際に、相手が目を見てくれないと、自分の言っていることを理解していないと感じ、不安にさせてしまいます。そのため、しっかりアイコンタクトを取り、理解や共感を示すことで安心感を与えることが重要となります。また、このアイコンタクトを通じて得られる安心感は、自分を認められたと認識し、やがては自己肯定感の向上にもつながることがあります。

子どもの目線の高さに合わせること

子どもの視野は当然のことですが、大人の視野よりも低い位置にあります。そのため、子どもとコミュニケーションを取る時には、物理的に子どもの視野に入る必要があります。

この時、頭より高い位置から言葉をかけられた場合、威圧感を感じやすく大人の表情もわかりづらくなります。話を聞く時や、話しかける際には、子どもの目線の高さまでかがんであげることが重要となります。そうすることで、子どもが話しやすくなり、子どもとの信頼関係を築きやすくなります。

目の表情を意識すること

3歳程度の子どもが大人の顔のどの部分に注目しているのかを追求した研究によると、目、口、鼻の中で最も注視時間が長かったものは目でありました。

例えば笑顔の場合、誰もが口角を上げることを想像しがちですが、意識的に目の表情で表現することが子どもに心を伝える際に重要となります。

子どもと接する際につい他のことに気が向いているのなら、それは子どもに伝わっているかもしれません。子どもの話を聞いているつもりだが、実際は時間をかなり気にしている場合、一瞬とはいえ時計に目が行くため、子どもはそのことを察知します。目で現れてくる微妙なニュアンスも子どもには伝わってしまいます。

喜怒哀楽や表情に気を配る

顔の表情はアイコンタクトと同様に愛情や安心感を得られる要素でもあります。子どもと接する際は、わかりやすく表情豊かに接することを心がける必要があります。

また、子どもに対する表情だけでなく、他人やものに対する表情にも気を配る必要もあります。なぜなら、1歳頃から子どもには社会的参照という能力があらわれるからです。

例えば他者を見る際に、大人が警戒をしていた場合などには、子どももその警戒を感じ、自分の認識としてしまう可能性もあるため、他者やものに対する表情にも注意する必要があります。

表情と感情を一致させること

子どもは生後8か月には表情の理解ができるようになり、自分の行動の良し悪しを周りの人の表情から読み取っているといわれています。そのため、子どもを褒める時や叱る時といった、子どもと接する時は、その感情に見合った表情を示す必要があります。

もし、感情と表情が一致していなければ、子どもは混乱し、気持ちが伝わりにくくなることがあります。子どもと接する際には、表情と感情を一致させたストレートで分かりやすい表現を心がけることが重要となります。

子どもの近くで愚痴や悪口を言わないこと

子どもがいる場所で、仕事や家庭の愚痴、他人の悪口等といった話をするのはNGな行動です。子どもは5歳頃までに神経系統の8割が成長し、言葉が理解できなくても表情などから、ニュアンスは伝わると言われています。その際に、ネガティブな話を聞かせることで、認知をゆがめてしまったり、不安感を与えてしまうようなことは避けたいものです。

子どもの気持ちに共感すること

子どもと接する際には、例えば子供が「これ美味しいね」と言った時には、「そうだね。美味しいね」等と、子どもに共感することが重要となります。なぜなら、子どもはこういった共感を通して大人から認めてもらっていることを実感しているためです。

さらに共感されることで「これは美味しいものなんだ」と再認識でき、その美味しいものをより美味しく感じることができます。

さらにこうした共感する体験によって、大人との信頼関係を築くこともできます。

また、子どもが「見て見て」と大人にしつこく問いかける時も、大人との共感を求めているため、しっかりと対応することが重要となります。この時に、冷たく対応してしまうと、大人に対しての不信感を抱くこともあるため、注意が必要です。

スキンシップを積極的に与えること

子どものことを大切に思っていても、その気持ちを子どもに伝えることは、思うだけではできません。しかし、子どもにスキンシップをして、身体で心地よさを感じさせれば、子どもにとっては明確な実感として愛情を感じることができます。

大人が子どもの頭をなでると、子どもは自分は守られている、大切にされていると感じ、安心感を得ることができます。大人が子どもを両手を広げて抱きしめると、子どもは自分は受け入れられているという気持ちで満たされます。

スキンシップは子どもと接する際に、とても簡単で有効な愛情表現です。子どもに愛情を伝えるにはどうしたらわからないと思った際は、是非抱っこをしたり、積極的にスキンシップを取ってください。それだけで、子どもはその大人から、自分への愛情を感じ取ることができます。

 

感受性が溢れる子どもの時に、豊かな感情や愛情をたくさん与えることで、子どもを心豊かに育てることができます。今回紹介した子どもへの接し方は、どれも難しいことではなく、ほとんどの親が自然としていることです。子どもに愛情を伝えることは、基本的に特別なことはほとんどありません。

子どもは想像以上に敏感な感性を持っていることに少し注意して、愛情をこめて接すると、自然と子どもとの信頼関係を築くことができ、子どもは立派に成長していきます。