子ども心理学に関する実験はたくさんありますが、特に有名なものを紹介します。

アルバート君と白ネズミの心理学実験

100年ほど前にワトソン博士が、生後11ヶ月のアルバート君に対して恐怖心を作り出す実験をしました。アルバート君に白ネズミを見せて、アルバート君が触ろうとするとゴーンという大きな音を鳴らしました。触ろうとするたびに大きな音を鳴らしたので、「白ネズミ=怖いもの」とインプットされました。また、白ネズミだけでなく白うさぎなど似たものを怖がるようになり、似たような現象について反応する現象を心理学では「般化」と言います。

子どもが怖がりにならないようにするには、インプットしないことが大切です。お化けの絵本やおばけ屋敷など、トリガーとなるものは子どもに見せないようにしましょう。親の思考に子どもは影響を受けやすいので、よく怖いなどと言わないようにしてください。子どもが影響されて暗い考えになったり、消極的になる可能性があります。

マシュマロ実験

40年以上前にアメリカのスタンフオード大学で、4歳の子ども186人を対象としたマシュマロ実験が行われました。実験は実験者が、子どもにマシュマロをあげますが実験者が部屋に戻るまでに食べないなら二個目をあげるが、戻るまでに食べたら二個目があげないといった内容です。結果は3分の1の子どもが食べませんでした。そこで実験者は4歳の時の判断が将来にも関係あるのではないかと考え、追跡調査を行いました。すると予想通り自制心の傾向は、18年後も続いていました。また、マシュマロを食べた子より食べなかった子のほうが学業成績が良かったのです。

自制心は生まれつきある程度決まっていますが、伸ばすことも可能です。そこで甘えさせることと甘やかすことの線引きが大切になります。子どもが一緒に遊びたい気持ちを拒絶することは甘えたい気持ちを拒否していますが、スーパーでお菓子がほしいとごねられて買うのは甘やかしです。日々を律して過ごさせる必要があり、ゲームなど際限なくするのではなく時間を決めたり、歯磨きを習慣づけるなどするといいでしょう。

学習性無力感の実験

学習性無力感は心理学者のセリグマン博士が見だした現象です。セリグマン博士は三つのグループを対象に実験をしています。実験1では一つ目のグループは一室で騒音にさらされて、あるボタンを押すと鳴りやむ逃避可能群です。二つ目は騒音にさらされますが回避できず自然に鳴りやむ逃避不可能群、三つ目は騒音も何の刺激もない状態です。実験2ではすべてのグループが騒音にさらされ、手をある方向に動かすと鳴りやむ仕掛けでした。グループ1は実験1で騒音を排除した体験から騒音をとめ、グループ3も騒音を止めました。しかし、グループ2の人は対処せずにじっとしている人が多かったのです。なぜこのような状況になったのかというと、グループ2の人は実験1で何をしても意味がないという無力感を学習したからです。

学習性無力感に関する象の有名な話があります。サーカスの象が逆らわずに玉乗りをしたり、逆立ちをするのは足に鉄の重りをつけられて育ったからです。子どもの象にとって鉄の重りはとても不自由ですが、大きくなった象は簡単に振り払えるのにそうしないのは子どもの頃から抵抗しても無駄であることを刷り込まれているからです。

学習性無力感に陥らない人の特徴は、不遇な状況でも「今だけだ」、「自分ならなんとかできる」といった考えの傾向が強いです。子どもが学習性無力感に陥らないように、親も「なんとかなる」や「たまたま良くなかった」といったプラスの言葉を意識して言うようにしましょう。

スキンシップに関する実験

マックス・ブランク研究所の実験

スキンシップの効果はたくさんあり、親子の絆を深める、情緒を安定させる、他者との信頼感が高まるなどです。スキンシップは脳の働きとも関係があると、研究で明らかになっています。ドイツのマックス・プランク研究所は43組の母子を対象とした実験をしています。母子にソファに座ってもらい、遊ぶ自然な姿を撮影しました。遊んでる最中の子どもの脳を分析すると、母親との触れ合いが多い子は社会脳が活発でした。社会脳は共感や相手の気持ちを察する領域です。

代理母実験

ハーロウ博士の代理母実験は、ぬくもりに関する有名な実験です。ハーロウ博士は、赤ちゃんが母親に触れたがるのはおっぱいのためだけではないことを証明しようとしました。新生児の猿の赤ちゃんを対象に、針金の母親人形と布製の母親人形を設置し、胸にミルクを入れた哺乳瓶を取り付けました。後者はあたたかな感触で、ほとんどの時間その人形にしがみついていました。その哺乳瓶が空になっても針金の母親人形に移ることはありませんでした。だからあたたかなぬくもりこそ、子どもが求めているものだとわかったのです。

スキンシップはぬくもりを求める子どもの気持ちを満たす大切な行為です。抱っこが疲れるからと面倒がらずに、子どもの心身の成長のためにたくさんしてあげてください。

子どもの勝ちたい心理に関する実験

アメリカの大学が2歳の子どもの観察力についての実験をしています。実験者がブロックで遊ぶ姿を子どもに見させて、どのような反応をするのか観察したのです。子どもは自分の番になるとボールが出る確率が高い青いブロックを選び、実験者と同じように台に乗せました。この実験に参加した約7割の子どもが青いブロックを選びました。そしてもっと複雑な実験も行い、ひとつは6回に4回ボールが出て、もうひとつは12回に4回ボールが出ます。この実験でも約7割の子どもが、成功しやすいブロックを選んでいます。この実験からもわかるように、人間は幼い頃から勝ちたい気持ちや成功願望を抱いているのです。それが子どもの学ぶ意欲にも繋がっています。2歳の子どもでも人の行動を見て、失敗を経験しなくても失敗を避け成功を選びます。たとえはっきりしないような状況でも、都合の悪いものは避けて自分の目的を達成しそうなものを選ぶことができる学習能力が子どもの頃から備わっていることには驚かされます。