子ども心理学の研究で著名な心理学者を取り上げ、発表した理論や行った実験を紹介します。

ピアジェの発達段階理論

心理学者のジャン・ピアジェは二十世紀で最も影響力がある心理学者の一人とされていて、アメリカの「TIME誌」で二十世紀の100人に選ばれています。ピアジェは1896年にスイスで生まれ、もともとは生物学に興味があり白スズメなどについて研究をし軟体動物の研究で博士号を取得しました。ピアジェは精神分析学に興味を持つようになりフランスで心理学について学び、児童心理学について研究しました。複数の大学で心理学や教育学を教えながら、発生的認識論国際センターを立ち上げ亡くなるまでセンター長を務めました。ピアジェの重要な概念の一つが段階的発達であり、発達の度合いや早さは子どもによって異なりますがどの子どもも4つの段階を経験するとしています。有名な発達段階理論では子どもの発達を4つのステージに分けて特徴づけています。子どもの教員や看護師、保育士を目指す人に学ばれています。子どもの心身の成長について理解することで、子どもの言動に戸惑わずに意図を理解して的確な指導ができるようになります。0~2歳までの感覚運動期は母乳の口唇探索反射など原始反射で外界に働きかけます。単純な動作を繰り返す循環反応と合わせて、目的を達成できるようになります。2~7歳の前操作期は、自分から見た他者との関係はわかりますが、客観的に関係を見れません。思考の基準が自分にある自己中心性があり、無生物にも命があると思うアニミズムの考えがあります。7~11歳の具体的操作期では、論理的に考えられるようになり物事をカテゴリー分けすることもできます。形式的操作期の11歳~成人では、抽象的な考えであっても論理的に考えられるようになります。

ピアジェの相互作用説は、年齢の近い子どもどうしの相互作用が重視されています。同じような年齢の自分とはやや違う認識をする仲間とコミュニケーションをすることで認知的葛藤が生まれます。認知的葛藤とは、すでにある知識と新しい情報に生じる疑問や驚きのことです。ピアジェは子どもどうしのコミュニケーションを重視しており、認知的葛藤によって知的好奇心が生まれ、物事をよりよく認識できるようになります。

また、ピアジェは子どもの道徳は二つの段階があるとしています。5~9歳の他律的道徳観は、子どもは道徳は他人の作ったルールを守ることで絶対に変えられないと思っています。9~10歳の自律的道徳観は、自分のルールに左右されるようになり絶対的な善悪がないことを理解します。他人の視点からも物事を考えられるようになり、ルールや罰などについての判断が大人に近づきます。また、行動の結果だけでなく意図も考慮するようになります。

赤ちゃんや子どもの思考発達

抽象的な概念を理解することが人間の脳の特徴ですが、この能力は幼少期に受ける刺激から徐々に発達します。赤ちゃんが同じおしゃぶりを何回もしゃぶったり、同じおもちゃで遊ぶのは繰り返すことが好きだからです。何が楽しいのかというと、自分の行動によって何かを感じることが楽しいのです。行動することで親に褒められると心地よく感じ、行動のパターンが増えます。

子どもの思考発達の場合は、感覚運動期では言葉を使えないので見る、触る、たたくなど様々な感覚で物事を理解しようとします。なので五感を刺激すれば脳が複雑化して思考力がつきます

幼児虐待について研究したアリス・ミラー

アリス・ミラーはスイスの心理学者であり、幼児虐待についての研究で知られています。臨床実験や著述が多く、日本でも多くの本が出版されています。3歳までの子どもは暴力を加えられても、反抗することができずその場を離れることもできません。子どもは生き延びるために、暴力は正しいことだと肯定せざるをえずその隠した悲しみが偽りの人格を作ります。しかし隠された悲しみは心に残り続け、それが絶えず不安を引き起こします。大人になってからも変わることはなく、何かをきっかけに他者に対する暴力として現れます。特に暴力の対象となるのが、抵抗せず暴力がしつけと肯定できる自分の子どもです。このような暴力の連鎖が、犯罪や非行に繋がる行為だとしました。ミラーが暴力とするのは物理的な暴力だけでなく、言葉や態度による暴力も同じような悪影響があります。特に成功者に多く見られ、子どもの頃から条件付けの愛情しかもらえなかったので不安を紛らすために、他人に気に入られようとしたり認められたがるので社会で成功することが多いのです。

キャロル・S・ドゥエックの考えた子どもの褒め方

スタンフォード大学の心理学教授であるキャロル・S・ドゥエックは子育ての悩みについて研究していて、子どもによってなんでも挑戦しようとするタイプもいれば失敗を恐れて挑戦することを避けるタイプがいることに気づきました。また、子どもの褒め方についての実験を行いました。実験では子どもを二つのグループに分けて、難しい問題を解かせるとほとんどの生徒の成績がなかなか良かったです。一つのグループは子どもの能力を褒めて、もう一つのグループは子どもの努力を誉めました。そして、子どもに新しい問題を見せて新しい問題と同じ問題のどちらかを選ばせると、能力を褒めたグループは新しい問題を避け努力を褒めたグループはほとんどが新しい問題に挑戦しました。だから、努力することを褒めると子どもは努力することに喜びを感じるのです。

子どもを褒める時のコツ

ドゥエックによるといい褒め方と悪い褒め方があります。悪い褒め方は「頭がいい」、「すごい」といった内容で子どもからすれば、勉強しなければすごいと思ってもらえないなどプレッシャーに感じてしまいます。逆にいい褒め方は「長い間がんばったね」、「ちゃんと自分で考えたね」など努力してできたことを褒めることがいいのです。親としては自分の子どもに勉強が好きになってほしいと、やがて社会で自分の道を切り開く力を身に着けてほしいと思っている人は多いはずです。ドゥエックの理論は子育てのヒントになるのではないでしょうか。