子どもの行動にはどのような心理が基になっているのか、どのように対応すればいいのかアドラー心理学をふまえて紹介します。

子どもが試し行動をする心理

子どもが試し行動をする理由は、自分をどこまで受け入れてくれるか試すためです。二歳くらいの子どもは物を投げる、泣き叫ぶといった行動に見られ、四歳くらいの子どもだと叱られたことのあることをあえて親の前ですることがあります。子ども自身が試し行動を悪いと自覚しているのに、気を引くためにわざとすることがあります。成長したからといって自然にやめるわけではなく、親の愛情を確認できるまでやり方を変えて続けます。試し行動をする子どもの気持ちはただ一つで、こんな私を愛しているのか、お母さんに嫌われていないか愛情を確認するためです。試し行動は虐待された大人を信頼していない子どもによく見られます。虐待していなくても、子どものことを怒ったり日によって言うことが違うと、子どもは不信感を抱いて試し行動をすることがあります。子どもが言うことを聞いてくれなくても、もしかしたら試し行動かもしれないという視点を持つと、子どもの気持ちを理解していい関係を築きやすくなります。試し行動をしたことに怒るということを繰り返すと、信頼関係が崩れかねません。そして、試し行動をされたら子どものことが大好きだということを伝えることが大切です。ありのままの子どもを受け入れると、試し行動を早くやめるようになります。また、良いことと悪いことははっきり伝えましょう。子どもの試し行動に乗せられて悪いことを受け入れると、子どもの善悪の判断に悪影響があります。善悪をはっきりさせることで、お母さんは自分のことが好きだけどだめなことはだめだと理解してくれます。

子どもが反抗や非行をする心理

アドラー心理学では人間の行動はすべて目的があるとする目的論があり、反抗や非行をする子どもも目的があるとしています。一つ目はほめられるために行動することです。子どもは褒められることが大好きで、褒められたくて勉強や運動を頑張るものです。しかし、褒められることが行動の動機だと、褒められないことに無関心になりちゃんと課題をしないなどの行動をとることがあります。二つは注目されるために頑張ることです。頑張ってもあまり褒められなかったり、他の子のほうが褒められているとあまりやる気が出なくなることがあります。静かにするべき場所で騒いだり、親の言うことを聞かないなど他の行動で気を引こうとします。三つ目は権力で張り合うために行動することです。悪いところを何度も叱ったり何時間も説教をすると、子どもは権力に対抗して大人と張り合おうとします。四つ目は復讐するために行動することです。大人が権力でねじ伏せようとすると、子どもは権力では対抗できないと思い復讐しようとすることがあります。非行をする子どもはこの目的が多いです。五つ目は無気力を示すために行動することです。これらの行動に対してさらに権力でねじ伏せようとすると、部屋に閉じこもったり学校の活動に参加しないなど大人を失望させます。

大人の適切な対応は褒められたい子どもに対しては、結果だけを褒めるのではなく努力した過程を褒めたり、周囲のために頑張ったことを褒めるといいでしょう。注目されたい子には何か頑張った時や適切なことをした時に褒めて認めてあげます。権力で張り合おうとする子には、大人は一歩引いて接し冷静に話し合うようにします。しかし、ただ褒めればいいというわけではなく、褒めすぎは逆効果です。些細なことで子どもを褒めると、褒められた子どもはあまり褒められない集団で適応しにくいとされています。また、指導の厳しい教師などと接すると過剰に落ち込むことがあります。褒めることで何かをやらせようとすると、子どもはその手口に気付いて褒められることに期待しなくなります。また、失敗を過剰に恐れるようになる可能性があります。子どもの見た目や学歴など表面的なことだけを褒めると、表面的なことばかりこだわるようになります。自分の内面に注目されないことを悲しく思い、その虚しさを表面的な価値で埋めながらも虚しさが消えることはありません。

アドラー心理学では子どもに対する対応で勇気づけを重要としています。人が社会で生きていくには勇気が必要ですが、勇気を支えることが大切です。褒める時にありがとうやうれしいといった言葉も伝えると、それが勇気づけに繋がるとされています。子どもの課題は子ども自身で解決するもので、親が代わりに解決することはありません。しかしまだ経験が少ない子どもは未知のことに対して恐れやすいので、勇気づけをすることで課題に取り組むエネルギーを与えられますし自己肯定感が高くなります。子どもは自分の力で生きていることを強く感じるのです。日常の些細なことにも感謝や喜びを感じられれば、何か成果を出した時だけで反応するのではなくより人生を豊かに過ごせるでしょう。そのような考えを親や周りの大人が持つことで、子どもにもいい影響を与えるのです。勇気づけをするためには子どもの気持ちに寄り添い、子どもの目線で物事を考えることが大切です。子どもへの見方を変えて短所を長所と捉えることで、子どもは親を信頼しやすくなります。また、子どもが教えたことをちゃんとできた時などに役に立っていることを伝えることで、自分と他人を肯定的に受け入れられるようになります。こうしたことを繰り返すことで、何か課題に取り組むための勇気が蓄積されます。親が子どもと対等の立場で味方になることで、家庭が安心できる居場所となり困った時に親に助けを求めますし親が困った時に助けようとします。親を信頼している子どもは、他者も信頼できるようになり社会に出て互いに協力する関係を築き課題に取り組めるのです。親が子どもの失敗を責めると子どもの勇気をくじいてしまいます。また失敗するかもしれないと子どもは勇気が持てなくなったり、何かに取り組むことに消極的になるかもしれません。失敗した時は他の方法を提案したり、次取り組む時に繋がるようにアドバイスをしましょう。